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2011年12月20日

ザ・タウン(2010)

- 不徹底 -

強盗を生業とする集団の一員である主人公は、ある銀行を襲撃した際に女性支店長に一目ぼれする。足を洗って彼女と新しい人生を歩き出したいが、仲間やFBIがそれを許さない。また新たな襲撃計画に参加せざるを得なくなる・・・

・・・ベン・アフレック監督、主演の作品。カーアクションや銃撃戦の迫力は相当なもので、誰かアクション担当の別な監督の手腕のせいかも知れないが、その面に関しては及第点だと思った。

車が縦に回転するような最新のアクションは、確かに凄いとは思うがやや現実から乖離している。いかにも映画のためのアクションになってしまう。ぶつかる、ひしゃげるといった普通の動きのほうがリアルと言えばリアル。そこを上手く音響やカメラワークで演出するほうが、より大人かもしれない。

この作品の客の対象としては、まず子供はよろしくない。犯罪者が単純なヒーローとして描かれていたから。犯罪を奨励しちまってる面があった。恋人とみる作品としてどうかというと、これはマズクないような気がする。いちおうは純愛に近い、ひとつの愛の形があったから。

「タウン」というタイトルは、どうしようもないほど荒んだ町にスポットを当てる、良い言葉だった。町中が犯罪組織に牛耳られ、そこから抜け出せない状態が表現できる。

犯罪者の家族が、ビジネスとしてギャング行為を働く、まさに犯罪のプロという描き方もなかなか良くできていた。ベン・アフレックが見るからにギャングのツラか疑問に感じたが、全くのギャングの顔だと主人公には向かないから仕方ない。ただ、もうちょっと迫力のある、狂気に満ちた俳優のほうが良かったと思う。

主人公に共感できたかというと、多少は・・・という程度。手に汗握るほどのアクションはなく、殺し合い、騙しあいの恐怖も薄く、FBIとの心理戦、愛の行方を心から心配するメロドラマ路線とも言えず、乾ききった現実的な眼線もなし、何か徹底する部分が足りなかったのかもしれない。

ヒロインは凄い美人とは思わなかったが、抑え気味の演技は上手いと思った。震える場合にも、ワナワナ震える普通の演技ではわざとらしい。微妙なくらいが正しいと思う。ヒロインが悪女だったら?と、ちょっと考えたが、あんまり複雑な裏切り合いのストーリーだと、理解するのも疲れる。これくらいの話で良かったかも知れない。

相棒の乱暴者を演じていたジェレミー・レナーには存在感があった。「ハートロッカー」の主人公よりも実在感を感じた。少し演技がオーバーだったとは思うが、体格を考えると良かったかも知れない。もっとタフな体つきの男だったら、静かな態度で冷たく人を殺すキャラクターもありえたと思う。親友から狙われる主人公という展開もありえた。

実際のギャング達は、こんなふうに次々と計画を練っているのだろうか?普通ならホトボリを冷ますべく、しばらく大人しくして金も使わず、一般人のような生活をするのでは?眼を付けられながら行動していては、偶然に捜査官と遭ってしまう危険性も高まる。人が忘れた頃に動くのが普通ではないのか?

親も子供もギャング一家のメンバーというのは、確かにありえると思う。親が刑務所に入れられたら、子供もグレやすいし、世間の目がまた正業に就くことを拒むと思う。その場合は、この映画の主人公達のように、若い頃から職業としてギャングをやるファミリーを形成してしまうだろう。

日本のヤクザ達では、意外に子供は大学に出て一般サラリーマンになる、学者になることがあるらしい。学歴社会で、比較的社会の格差が低かったからだろうが、いっぽうで親子とも暴力団という家庭も多いようだ。

でも変化は来ている。法律のせいであろうか、ヤクザ達の生き方は変わりつつある。昔ながらの渡世ではやっていけないので、経済ヤクザのような、正業か犯罪組織か判別が難しい状態のほうが、むしろ基本になりつつあるようだ。先日の土木会社の倒産劇では、金を貸す形で実はむしりとるという技を使っていたそうだ。賢いといえばそうだが、イメージとは随分違う仕事内容。

開業の時に、いろんな業者と交渉したが、後で知ったところでは犯罪組織まがいの業者もいたようだった。法外な契約を持ち掛けられたりしたが、幸か不幸か金が全くなかったので、敵方も魅力を感じなかったのだろう、契約すらしなかった。後で嫌がらせを受けたが、今のところ収まっている。

知り合いの病院は、規模が大きかった関係で資産を随分喰われてしまったと聞いている。金があるところには、必ず侵入を試みる悪徳業者がいると覚悟しておいたほうがよいようだ。

 

 

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