映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« 下妻物語(2004) | トップページ | 赤ずきん(2011) »

2011年12月14日

ソリタリー・マン(2009)

Millennium_films

- センス良し -

ビジネスで成功を収めていた主人公は、女遊びと不正経理発覚のためにドン底状態。恋人を使った復帰作戦も失敗。家族や友人達を失望させ、行き場所すらなくなってしまうが、若い女への興味は失わない・・・

・・・マイケル・ダグラスを念頭に作られた物語らしい。実際の彼は映画でも家庭でも大成功したと言って良い状況らしいが、イメージとして我が強すぎるセックス中毒で、その方面にだらしない男の役柄が非常に合っている。この作品でもイメージ通りの実在感があった。

彼が出演した映画は、いろんなジャンルに及ぶのだが、外れが少ない。製作者としてのセンスがないと、俳優として一流の状態を維持するのは難しいらしい。良いスタッフを集め、そのスタッフからも評価され、しかも的確に演じるためには、ただのハンサム、美人だけでは続かないんだろう。インテリである必要はないかも知れないが、センスが必要なんだろう。言われたまま演じるだけでは、一発屋で終わってしまう危険性がある。

完成度の高い映画だったが、主にマイケル・ダグラスの存在感が良い方向に働いたからだろうと感じた。キャラクターがはっきりした、良い意味でも悪い意味でも印象に残りそうな主人公の存在感が、作品に迫力をもたらしていた。子供が観てもつまらないが、大人なら結構楽しめそうな印象。恋人と観るのは、はたしてどうか解らないが、多少は考えても悪くないのでは?

主人公が家族と話しながらも、目だけは若い女のほうに向いている姿が面白い。こういった役を演じきれる役者は、やはり一時代を築いたモテ系俳優でないと無理。リチャード・ギアかハリソン・フォードは可能かも知れないが、ブルース・ウイリスは無理。ジョン・トラボルタはありえるが、スタローンやシュワルゼネッガーはキャラクターが異なる。

執念に近い病的なほどの女好きのイメージを持つのは・・・やはり最初に思いつくのはマイケル・ダグラスだ。彼も高齢になってきたし、癌の治療も受けたりしているから、もうこれがラストチャンスだったかも。

ただし、この作品の主人公の人物像は、自分にはよく理解できなかった。

外来の患者さんの中には、検査を勧めても了解されない人が多い。開業当初は特にこちらを充分に信用していないこともあったのだろう、レントゲンを進めても拒否されることが多かった。その関係で、本当に必要な子にも検査を省略し、後で肺炎が判明したことがあった。勤務医時代なら説明なしで「レントゲンに行ってください。」と、検査していたような対象だったのに・・・

便鮮血が出る患者が何人かいる。内視鏡検査を当然勧めるが、了解されないことが多い。「貴方はおそらく確実に大腸癌だと思うから受けて下さい。」とまで言っても、「いや、これは痔です。」といった具合。この夏には、その中のひとりの患者さんが亡くなってしまった。説得力が足りなかった自分には責任がある。

検査で事実をはっきり知るのには勇気が要る。私も自分が内視鏡検査を受けた時は、びびっていた。逆に不必要な検査でも繰り返し受けたがる病的な人もいるというのに、あの差は不思議。

早期発見、早期治療が良いと解ってはいるが、「あなたは癌です。」と言われたらどうしようと、つい悩んでしまう、そんな人は多い。たいていは考え直して、仕方ない、やるべきことをやろうと思うようだが、ズルズル引きづったまま対処しない人もいるにはいる。

主人公がもし物事をはっきりしたいという考え方の持ち主だったら、さっさと検査し、治療も済ませていただろう。無茶な生き方になったりしなかったはず。そんな考え方の人が、合理主義のアメリカでは多いと思う。だから、この主人公は少数派ではないか?

その点で、この人物像は、やや作りすぎの印象がある。もっと違う設定のほうが、観客の共感を得やすかったと思う。不可抗力による、大いなる不幸にうちのめされた主人公のほうが良かった。性格的には独善的で、家族をバラバラ状態にしていたが、仕事を失って没落してみると、家族しかいない。でも、女遊びを止めない・・・そんな設定もありえたはず。

家賃を払えなかった主人公は、入院費をどうしたのだろうか?完全に破産していたのでは?あちらの医療費はすさまじく高額らしいから。

カーディーラーで、図書館を寄贈するまで大儲けができるものだろうか?日本では基本的にはグループのディーラーが車を扱うのだから、個人での儲けは知れていると思う。熊本市の中古車ディーラーを見ても、そんなに高額の収入を得ている業者は少ないのでは?イマムラオートという代表的な会社でさえ破産手続きをしたくらいだ。アメリカでは社長が全ての権利を持つシステムがあるのかも。

この作品は、共演者が一流だった。妻役のスーザン・サランドン。かってのギョロメは、太った今は目立たなくなったような気もする。友人役のダニー・デヴィート。こんな役で良いのかと思うほどの出演だったが、おそらく友情出演でもあったのだろう。

ジェシー・アイゼンバーグは、学生役が非常に合う。いかにもモテなさそうな特徴ある外見が役に合っていた。日本で言えば、森山未來が近い存在か?最近は「モテキ」という映画に主演しているらしいが、彼は30歳になっても学生役が務まり、しかも絶対にモテそうにない人物として確固たる地位にある。稀有の存在。

さすがの彼らも、50歳になって学生役はやれないと思う。その時、どんな役者になっているのか、今の段階では想像もできない。脇役になっているだけか?

愛人の娘役が、この作品のヒロインに相当していたが、若く魅力的な女優だった。際立つ特徴はないような気もしたが、演技力あるスターになれるかも知れない。こちらも、齢をとった時に、どんな役を演じるのか、今の時点では解らない。

マイケル・ダグラスのように長く一線でやれる個性は、そうそうあるもんじゃないと思う。

 

 

 

« 下妻物語(2004) | トップページ | 赤ずきん(2011) »