映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« ザ・ウォーカー(2010) | トップページ | ザ・ファイター(2010) »

2011年12月 5日

プルーフ・オブ・ライフ(2000)

Warnerbros

南米の未開地でダム建設に従事していた夫が誘拐される。残った妻は、交渉のプロに対応を依頼する。しかし、交渉人と妻の間には愛が芽生えてしまい・・・

・・・興行的には大コケだったらしい作品。劇場公開の時には見なかった。当時、ラッセル・クロウは目立たない風貌の人物というイメージだったので、「プレデター」のような作品ではないかと思ってしまったのだった。もしかすると、欧米の観客もそうだったのかもしれない。

ところがストーリーも全く知らない状態で作品を観たら、いかにも映画向きの、かなり凝った作り方をした素晴らしい話であることに気がついた。ラブ・シーンがあったらヒットしていた可能性もあるように思う。重心を恋愛感情にするか、具体的な不倫の会話をどれくらい入れるか、ヌードがあるかどうか、そんな小細工が足りなかったような気がした。

映像は非常に美しかった。アンデスに実際にロケに行ったらしい。高地でキャンプしているシーンなどは、実際の寒さが伝わって来そうだった。霧や雨も作り物ではないようだ。誘拐の前に妻と夫が言い争うシーンは、リアルなドラマ。メロドラマとしては高級な出来だったと思う。

実際の話に基づいているのか、高地の誰も知らないような場所にキャンプして、行方を解らないようにするのは、確かに誘拐慣れしたゲリラ達の考えそうなこと。

ストーリーも実際に起こりそうな、実にリアルな設定。もっと恋愛の要素を盛り込み、ラブシーン満載にして、実写で美しい光景の中で演技し、スターを出演させたら・・・きっとヒットしそうな気がするのだが、なぜかそうなっていなかったようだ。

当時のメグ・ライアンは40歳くらい?まだ非常に美しい。コメディタッチの可愛らしさは封印し、特徴であるラブ・コメ向きに悩むシーンはなかったが、何も知らない客が観たら、なかなかの悲劇女優と感じてもおかしくないような気がする。

ただし、ほとんどの客はラブコメ女王だったメグちゃんをイメージしているから、まずもって最初からミスキャストとしてイメージする傾向はあったはず。それを乗り越えるためには、相当な迫力が必要だった。それがなかったということか?「なんじゃい、普通の演技をしてるぜい。」という印象になったのかも。

あるいは、当時メグ・ライアンとラッセル・クロウの間でスキャンダルが起こったらしいから、倫理面で毛嫌いされたのが大きかったのかもしれない。宣伝の面でも何か失敗したのかも。そういえば、タイトルが印象に残るとは言えない。

本物の悲劇向きのヒロイン、特に強烈な個性があって、激しく敵をののしり、自分の意志を通そうとする強気の女優が演じていたら、そんな女の大きな悲劇、打ちのめされる姿が絵になって、もっと魅力が増していたかも知れない。強い女が泣く、もしくは逆の展開、そんな変化が観客にとっては印象に残りやすいはず。

つまり悪役向きの女優とか。黒人だったら、面白かったかも。

ラッセル・クロウも熱演だった。身のこなしも悪くない。男も解るような、ものすごい色気があるかというと自分にはさっぱり判らないのだが、そこそこ必要な演技はこなせていたと思う。「グラディエーター」の時ほど印象的なレベルに達していたようには思えなかったから、そのへんは失敗だったのかもしれない。

日本人的な考え方かもしれないが、主人公は絶対に死んで欲しかった。激しく傷つき、虫の息の状態で帰還する。ヒロインと向き合い、涙々の別れで絶命するなんてどうか?もしくは、ヒロインが御礼を言おうと主人公を捜すと、死んだことを告げられる、泣き崩れるヒロイン・・・そんなストーリーが王道だった。

ハックフォード監督は、この作品の後も結構なヒット作を作っているようだ。でも、一般に名前が知れ渡るようなメジャーなレベルには達していないと思う。脚本家のトニー・ギルロイ氏は「ボーン」シリーズを書いているからメジャー級になっている。この作品も良い仕事だったと思う。

もしかしたら、キャスティングによって相当なヒットも可能だったかもしれない。ラブシーンのあるなし、主人公が生きるか死ぬかも大きな要素だったかも。

アイディアや撮影の仕方、役者の演技振りが高いレベルでも、必ずヒットするとは限らないようだ。映画作りは難しい。

« ザ・ウォーカー(2010) | トップページ | ザ・ファイター(2010) »