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2011年10月 6日

英国王のスピーチ(2010)

- オールラウンド -

吃音に悩むジョージ2世は、兄が突然退位したために英国王になる。言語調教師についてトレーニングをするが、完全ではない。開戦の宣言をしなければならないが、スピーチに自信はない。ビビリながらマイクに向かう・・・

・・・アカデミー賞を取った作品。さすがに、なかなか味のある名作。真摯な姿を描いた内容で、見終わった後に何ともいえない達成感、幸せな気分を感じることができる。家族でも、子供だけでも、恋人といっしょでも、とにかくオールラウンドに受ける高級な作品。

中心となったのは、言語の教師との心の交流。対等に近い形で友人として付き合う姿と、互いの感情の変化。それを取り巻く王妃らの姿。奇をてらって、破天荒な行為をとるような姿はなく、全体が静かな作品だった。アカデミー賞にふさわしい迫力・・・という作品ではないが、そもそもテーマからいって迫力で勝負する映画ではなかったんだろう。

物語の完成度は非常に高い。その反面、迫力や斬新さはないようにも思える。静かな感動。仕方ないかも。

大事な場面で、教師が医師免許を持たないことを初めて知る・・・というくだりは脚色のような気がする(王室関係者が厳しく調べないはずがないから)が、演出としては必要な設定だったかも。

言語の先生を演じていたのは、パイレーツ・シリーズの悪役であったジェフリー・ラッシュ。ちょっと意外な配役にも思えたが、ちゃんと雰囲気を保って演じていて、好感を持った。悪役らしい、いじめのような変なトレーニングを強いるならば最適のキャスティングだと思うが、キャプテン・スパロウと騙しあいを演じていたのとは違った演技だった。

コリン・ファースの国王は無難な配役だが、王妃とチャーチル首相の配役には大いなる違和感。普段は悪役として有名な俳優達がそろって善き人を演じていて、妙な感覚。ハリー・ポッターの俳優達が主演クラスだけでも3人も共演しているとは・・・王室を扱うから、オールスター映画になるのは当然か?

王妃のキャラクターと、悪役の魔法使いの女・・・どうもイメージのせいか、相容れないものを感じてしまった。

物語として非常に興味が湧く話と、最初から感じることはできなかった。英国王の物語なら、なんと言っても兄のエドワードのほうが魅力的。彼の恋の話なら、大河ドラマ風の凄い話になるから興味も湧こうというもの。真面目だったらしい弟君の話が映画になるとは・・・よく思いついたものだ。

外人の吃音の表現を観たのは、古い映画「シマロン」の新聞社の社員役。日本人の吃音と全く同じ症状が英語でも起こるのは興味深かった。コリン・ファースの吃音は、時々スムースに話し、緊張する場面で症状が出るところが自然で、よく研究された演技だったようだ。

人気俳優だが、個人的には色気が欠けているような気がする。ブリジット・ジョーンズ・シリーズでも特に魅力的な印象は受けなかった。色気を要求される役でないから好適だったのか。

吃音のシーンを英語のまま聞いてみたが、話がゆっくりになるので流暢なセリフより、かえって理解しやすいという変な現象が。

吃音の人に、歌を歌わせるとスムーズな発音だったりするのが不思議。耳にヘッドフォンをかけると正常な発音というのも本当だろうか?それなら、徐々に聞こえるようにすれば、訓練になるのでは?おそらく、今ならオーディオ技術を駆使して、昔よりも優れたトレーニング方法があるに違いない。

ビデオとヘッドフォンを使いながら、自分で修正していく方法もありえないか?

王の場合、本番の演説でも、ヘッドフォンをしたまま音楽を聞き、自分のスピーチの原稿を前に座った人物から手で指示してもらうという方法もある。ラジオ演説の場合は密室でやられるから、実際にもそうだった可能性はある。

自分が吃音癖だったら、どんな考え方をしていたろうか?神を呪いたいような気持ちになっていたかもしれない。懸命に努力しても報われない・・・そんな現実を抱えて成長するのは辛い。

いずれにせよ、ハンデを克服する姿はドラマになる。

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