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2011年9月28日

ブラック・スワン(2010)

20fox

- 心理描写も派手に -

バレエ団の新しいプリマに選ばれたヒロインは、黒鳥の役柄を充分に表現できない自分に焦っていた。ライバル達との競争、母親の干渉、性的問題などに悩む。そしてついに、舞台が始まるが・・・

脚本家には名前が3人挙がっていた。話し合いながら、徹底的に練り上げたのだろう。

冒頭で演出家が話をしながら団員の間を歩くシーン。時々肩に手を触れる。好意の意思表示かと思ったら、一転して悪い評価だったと判るという流れは非常に鮮やかだった。「コーラスライン」のどんでん返しにヒントを得ていたのか?あれで作品の出来が半分決まったような気がした。ハイライトがいきなり来た感じ。

ナタリー・ポートマンの痩せ方が凄い。確か、この映画の直後に妊娠したような気もするが、大事はなかったらしい。共演のライバル役ミラ・キュニスも素晴らしいが、おそらく本格的なトレーニングを相当に積んでいる。そのリアルさがないと、映画のレベルが落ちる。

間違いなく、アカデミー賞ものの演技だった。

ただし、個人的には本物のダンサーの中から演技力も兼ね備えた女優を探したほうが、より作品のレベルが上がる気はする。あちらには多くのダンサーがいるし、そしてポートマンより美しい人も多い。スターをヒロインにする必要は必ずしもないと思う。

企画の段階でポートマンが絡んでいたらしいから、無理な話だったとは思うが。

ポートマンの表情がやや険し過ぎたような気もした。不気味さを表現する時には、無表情のほうが逆に怖い。激しい争いの一瞬後に、全くそれを感じさせないにこやかな表情を見せると実に不気味である。そんな急変を多用したほうが良くなかったろうか?

現代では心理描写も派手でないといけないという判断か?

眉毛の動きが、やや大き過ぎたと思う。スターウォーズのラストでもそう思った。もともと表情豊かな女優だから、少し抑えたほうが自然。

バレリーナとしては、それでもやや肉が大目で、動きもさすがにプロほどではないと思う。ミラ・キュニスのほうが踊りは上手かったが、こちらも本職ではないようだ。

ミラ・キュニスは「デート&ナイト」でのヤンキー娘的なやり取りが素晴らしかった。役柄が全く違うのに、ちゃんとモノにしている。この作品でも第一級の悪役の存在感を感じた。群を抜く表現力を感じる。大作で何かの悪役をやって欲しい。

真の悪役は、色っぽくないといけない。スタイルも美しく、セクシーさでヒロインを上回るほうが望ましい。悪役が目立つと、物語が面白くなる。

この作品は、暗くて気持ち悪いシーンも多い一種のスリラーなので、子供には勧められない。間違いなく大人限定。恋人といっしょに観ることも、必ずしも勧められない。でも作品の出来はいいと思う。歴史に残る名作とは思わないが、一般のレベルを超えている。

CGも結構挿入されていた。黒鳥の踊りの時に実際に黒い羽をたなびかせるのは、多少やり過ぎだったような気もする。羽はもっと薄い画像で、見えるのか見えないのかはっきりしない程度のほうが優雅で、怖い印象につながったと予想する。

二重人格、妄想を扱った作品とも言える。二重人格の表現の代表としては「サイコ」「マジック」などを直ぐ思い出す。技術的には、この作品のほうが数段進んでいる印象。CGが進歩しているし、テンポも違う。カメラワークも凄い。ダンサーのように移動している。

患者さんの中に幻覚を訴える人がいる。分裂病かと思って精神科医に相談すると、認知症のひとつの症状ではないかという答えが多い。激しい症状の人は最初から精神科に行くから、比較的軽症の例しか診ないせいだろう。

幻覚なのか、証明が難しい場合もある。物取られ騒ぎは病棟でよくあったが、真相は判らないままのことも多い。あんな時に、患者の頭のなかがどうなっているのか興味はあるが、よく判らない。夢と現実が混じったような状況かなと想像している。

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