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2011年9月10日

プルーフ・オブ・マイ・ライフ(2005)

- サスペンス劇もありえた -

数学者の娘が主人公。父親は功績を挙げたものの、精神異常を来たし、娘はその介護のために自分の生活を犠牲にしてしまった。父親が亡くなって、遺品の中から価値の高い新しい証明が発見されたが・・・

・・・地味な作品だったが、非常に高度の出来上がり。原題はただの「証明」で、その方がより深遠な感じがする。邦題はいただけない。

よく考えて作ってあった。時々時間をさかのぼって回顧シーンが流れるのだが、その順番や挿入の仕方を充分に計算してあるようで、違和感がなく、理解しやすい。

趣向を変えて作ることも可能だったと思う。例えば、「どちらが証明を完成したのか?」という謎解きを中心にして、サスペンスタッチの物語にするという手法があった。

舞台劇なら、緊迫した暗いステージでサスペンス劇を繰り広げると受けそう。映画でも、例えばデビッド・フィンチャー監督タッチの作品が仕上がりそうな感じがする。そうしてよかったのかも。色彩だけでも参考にしては?

謎解きに加えて、「自分は狂ってしまったのか?」という恐怖と、そうではないという叫び、焦りのようなものを中心に描けば、観客の注意を引き続けることが可能だと思う。ただし、刑事物と違って、数学の証明がどのようにされたかの謎解きは難しい。新しい手法が使われた証明だから・・・などと言われても、何が新しいのか素人には絶対に判らない。

では証人を登場させるか?そうなるとテーマが随分違ってくる。

でも、この作品のテーマは親と子の心の葛藤と愛情が中心。それなら、サスペンスの要因は排除したほうが適切。美しい物語になる。ただのサスペンスではいけない。美しい愛情、献身、努力、そんな要素が基本になっていないと、底の浅い話になる。

友情出演でヒラリー・クリントンが出演していた。彼女も随分美しくなったなあ・・・と思ったら、ホープ・デイビスという女優さんだった。よく似ていた。美しいが、確かな演技力がある方のようだ。

パルトロウの表情も実に素晴らしい。不幸な役をやらせたら凄い。得がたい存在感だと思う。悲恋、悩み、大惨事などに対して、懸命に対処しようともがく時の人の悲しみが実に自然に出る。ヒーロー映画の秘書役などは全く似合わない。「ダイヤルM]に限らず、ヒチコック映画のような作品には必須の女優。

冒頭で父親と話しながら、父親の話の論理的誤りに気づき、父親の存在自体を疑うという下りは、もう少し気味の悪い演出もありえた。父親がスーッと消えたら、観客は「ああ、怖い話なんだな」と覚悟する。「ヒロインは狂ったらしい」と思う。

結局の流れから考えれば、あの場面も回想シーンとして徹しておいたほうが良かったかも。そう考えると、中途半端に終わった作品なのかも。

子供も観れる作品かもしれないが、さすがに退屈するだろう。恋人といっしょに観るのは悪くない。でも、非常に盛り上がるタイプの映画ではなく、大人しい内容なんで、時と相手を選ぶべきと思う。

数学者は狂うことが多いのか?

「ビューティフル・マインド」も天才型数学者が狂う話だった。身の回りの基礎学科の先生達は狂うほどないように思うが、よく付き合ったことがないので何を考えているのかは知らない。

自分は数学の才能を感じなかった。計算が苦手。文章題はわりと好きだったが、高度な問題には手を出さないように注意していた。時間のロスが大きいからだ。そのレベル。

数ヶ月、数年をかけて解決する研究など、考えたくもない。目に見え、手に触って感じられるレベルの事でないと、興味が続かない。思考のパターン、能力の使い方が違うのだろう。

現実世界と離れる危険性は、高度な思考の中では確かにありえるのかも知れない。

 

 

 

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