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2011年8月 2日

パーフェクトワールド(1993)

- 端的すぎかも  -

刑務所を脱獄した男達が少年を人質に逃走する。途中で男達は仲違いし、男と少年の二人が旅を続ける。しかし、追っ手は迫ってくる・・・

・・・ケヴィン・コスナー主演、イーストウッドが監督した映画らしい映画。原案が何かの事件から出たものか、全くのフィクションなのかは解らない。

イーストウッドは、この前に「許されざる者」を撮影しているから、最も乗っていた時期の作品ではないか?単なる逃避行もののテレビドラマとは格が違う趣のようなものを感じる。

ただし、その趣の関係もあって、この作品は子供には向かない。恋人といっしょに観る時も、テーマとして恋に都合が良いとは言えない。何か不幸な感情が生まれるかも知れない。

ちゃんとプロットを丁寧にやっていた印象。FBIの捜査官と警察署長の対立、心理捜査官とのやり取り、少年と母親、少年と脱獄囚の感情の変化、巻き添えを食う家族達の諍いに対する脱獄囚の感情の表現。

少年時代の主人公の育ち方、不幸な過去が、子供をひどくしかる親達に対する激しい感情になっていることを、端的に表現していた。あまりに端的過ぎる印象さえ感じるほど。ぼかしても良くはないか?

アメリカの客は、表現が端的でないと共感してくれないという話を何かで読んだことがある。頭が単純なのではなく、異文化が混在するから端的でないと誤解を招く、理解されないという感覚~クセのようなものかもしれない。

でも、できれば観客が「あ、もしかして犯人は親とのやり取りがトラウマになっているのでは?」と、「もしかして」のレベルの曖昧な直感で解ったほうが良い。断言されるかのように的確に表現されると、観客の自意識をくすぐらないから。

犯罪者役を当時のスターであるコスナーが演じていたが、あちらの俳優では珍しくないようだ。おそらくヘンリー・フォンダのようなタフなキャラクターの人間を演じたかったに違いない。タフであれば、悪役もヒーローも似たようなもの。とことんカッコづけて演じられる。

ただし、コスナーに限れば、この役は失敗だったかも知れない。最初が悪役の場合は役柄の変更は実に効果的だが、逆の場合は危険性が高い。単にイメージをかえれば良いというわけではないようだ。極めてタフな男かというと、ややエピソードが足りなくて解らない、もう一人の脱獄囚と比較して賢そうといった程度。尊敬できるほどの能力を見せるべきだったかも。

パーフェクトワールドとは、目指そうとしたアラスカのことらしいが、もちろん完璧な場所であるはずがない。ただし、父親が一度出した手紙を大事に持っている、その地を目指さざるを得ないという感情は、主人公のキャラクターを浮かび上がらせる。端的に。

日本やヨーロッパの監督の場合は、主人公が何かを大事そうにしまっていて、「何だろう?」と観客に思わせておいて、主人公が死んでしまってから意味が初めて解るといった、もったいぶった表現をやってしまいそう。どちらが良いのか解らない。

主人公はあくまで犯罪者なんだが、内面の描写が本当に映画的だった。

 

 

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