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2011年5月 9日

告白(2010)

Kokuhaku

- 感動はしません -

女性教師のひとり娘が死んだ。教師は担当するクラスで「犯人を知っている。」と話を始める・・・

・・・怖ろしく冷静な教師の語り口が印象的な宣伝につられたのと、日本アカデミー賞の賞を取ったという報道を見て、DVDで拝見。若い役者達の演技のレベルが高く、確かにシラケることはなかった。

宣伝に使われていたシーンは、映画の中では特別強調されてはいなかったが、非常に宣伝効果があったと思う。

この作品は海外でも通用するような気がする。構成がよく考えてあって、告白が繰り返されるし、どんでん返しの要素もあるし、サイコホラーの怖さがあるし、レベルが高いからだ。

傑作かと言えば、感動させられたわけではなし、そもそもテーマから考えてアカデミー賞にふさわしいとは思えないのだが、映画としての出来栄えだけからは確かに賞に値するかな?という印象。

ヒロインの松たか子は、やや迫力不足のように感じた。非情な感じは、むしろ木村佳乃のほうが上手かったかもしれない。イメージの問題だろうと思うが・・

いっぽう、母親役としての木村佳乃は、少し違和感を感じた。交代したら良くなかったか?

少年達が上手かった。叫ぶシーンの叫び方には改善の余地を感じたが、無表情に授業を受けるシラけた雰囲気などはリアルだった。若い熱血教師を徹底的にバカにしていたが、熱血を排除したら子供達の教育に多くは望めないのでは?給料分だけの仕事を冷静にこなすだけでは、そこそこの能力の持ち主しか育てられない。

激情がないと社会全体が停滞する。不必要なほどの努力、熱意を生むのは、勘違いだとしても激しい熱意に満ちた教育。イチローがいかに才能豊かな少年だったとしても、根気良くバッティングセンターに行けなかったら才能は伸ばせなかったかもしれない。その可能性が高いと思う。行かせてくれた親がいたから、兄がいたから伸びたはず。親が「月に一回行けば充分だよ。」と考えて金をくれなかったら、野球選手になれなかったかも。

熱血教師をバカにすることが、さも常識であるかのような描き方、さらにそれがすんなり我々に受け入れられる状態は、真面目に考えれば異常。つまり我々の今の感覚はよろしくないということ。停滞するはずだわ。

役者の叫び方に問題があることに気づいたら、音響効果やスローモーションで演出するほうが良い。若い男の叫びは、もともと深刻さを感じにくい面がある。口を開けて、叫び声が聞こえない画面のほうが、かえって恐怖や怒りが解るはず。

教育の現場が今どうなっているのか知らないが、中学ではひどいところもあるだろう。学校に携帯を持って行ったら、授業に集中できるはずはない。親が買ってあげる気が知れない。

でも、我が家も結局は母親が勝手に買っている。幸い高校が持ち込み禁止なんで、学校には持っていっていないようだが、絶対ではあるまい。「勉強するな、暇つぶしをしろ。」と、親が言ってるのと同じであることに気がつかないのか?

生徒が互いにメールを送り出せば、大事な時間を奪われることは確実。悪用される危険性のほうが、利便性よりずっと上であることも明白。この意見は時代遅れの感覚だろうが、携帯に時間を取られることなく能力を高めた子達に社会を牛耳られてもいい覚悟なら、どれだけ扱っても構わないが、気がついた時には遅いのでは?

犯人役の少年がいじめられるシーンもあった。かわいい女の子達が、笑いながらやるのだが、あんなシーンは子供には見せたくない。子供は本来が残虐なんだが、たぶん自己防衛反応で過剰に攻撃的になるからだ。何かの規制がないと、簡単に悪さを始める。

この作品を恋人といっしょに観たいとも思えない。映画祭で賞を取らせたいとも思えない。でも「ノーカントリー」が作品賞を取るくらいの世の中なんで、それこそ世も末の世界なんで、どうぞ恋人と楽しんでもらっても良い。

ニコニコ笑って、この映画を観るカップルなんて想像したくもないが。

 

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