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2011年3月29日

塔の上のラプンツェル(2010)

- 舌をまく完成度 -

魔法の長い髪の持ち主ラプンツェルは、森の奥深くの塔の中に閉じ込められていた。彼女は自分の誕生日に空に飛ぶ光の秘密を知りたいと願っていたが、母親からは禁じられている。そんなある日・・・

・・・長い髪の映像は、本物の髪よりも美しく、もっとリアルな感じがした。実写よりも実写みたいに見えるほど細かい映像にまず驚いた。トイ・ストーリー2の頃に、犬の毛まで再現してあることに驚いた記憶があるが、今回のはさらに精度の高い映像処理法を採っているのか?画素数に相当する目が細かいのか?

表情は最近のアニメに共通のものだったが、細かく処理されてより自然になっている感じ。ヒロインが泣く場面では、驚いたことに人物の目が充血していた。ただ涙目になるのは今までもあったが、微妙な赤さまで再現するのには敬服する。

ストーリーもよく考えてあった。本来のラプンツェルは追い出される放蕩娘の物語だったようだが、完全に子供向けに加工してあった。成長、冒険、勇気、友情、愛情、そんなディズニー的要素で満たされた美しい物語。奥深いかと言えばそうでないかも知れないが、ディズニー的な完成度に関しては間違いなく高い。

企画力を感じる。企画会議を想像すれば、①「ヒロインが不純異性交遊をして勘当され、立ち直る案」、②「ヒロインが魔女から逃れようと冒険する物語」、③「魔法の髪の毛を狙って両親と魔女が争う物語」、④「盗賊と世間知らずの娘の恋を中心に描く案」などなど、様々なパターンが考えられる。非ディズニー的な要素を排除し、ユーモアを持ち込み、しかもハッピーエンドに持ち込むためには・・・会議で徹底的に検討されたに違いない。

そして、正しい答えが出せたというわけだ。

その結果、この作品はちゃんと家族で楽しめるレベルになっている。子供が最大のターゲットだが、恋人と観るのも悪くはないと思える。あらかじめ子供向け映画だと断ればバカにされることもないのでは。

ミュージカルシーンのレベルも非常に高い。酒場で荒くれ男達が歌うシーンはハイライトのひとつだったが、美女と野獣の酒場のシーンをさらにレベルアップさせたかのような賑やかさだった。基調というか、狙いは全く同じで、悪者の外見の男達が愉快に踊る滑稽さが売りなんだろうが、一人一人の個性を際立たせて、見るだけでおかしくする手際が完成されていた。

Rapunntseru

ハイライトがやたら多かった。湖で気球を眺めるシーンも、そのひとつ。あの気球は東南アジアのどこかの村でやられている風習を参考にしたんだろうが、少女達が好みそうなロマンティックなシーンに仕上がっていた。

ハイライトのさらにもうひとつ、追っ手から逃げてダムが決壊するまでのアクロバットも立体的な表現のレベルが上がっている様子。これも画素数、処理するコンピューターやソフトの機能の向上によるのかもしれない。動きに力感を感じる。実写よりも自然な動き。

まぶたを閉じる動きだけを考えても、ゆっくり閉じる場合と、漫画チックにバタンと閉じる場合とではリアリティが全然違う。その動きを体の動作や周囲の物の動きと連動させるのは気の遠くなるような作業だ。何かグラフィックソフトで処理しているのかも。

悪者としては盗賊の双子と、育ての母が役割を分担し、それぞれのキャラクターを際立たせていた。笑いの担当は多かった。馬、カメレオン、酒場の荒くれ男達が多数。それぞれのキャラクターを細かく練ってあったようで、手の込んでる盛り上げ方。

オリジナルの声優は知らない人が多かったが、日本人の声優、歌い手も上手かった。3Dでなく通常の画面でも美しく、立体感があったが、3Dならさらに凄かったのかも知れない。

人物の顔が別な作品と共通しているのは気になった。リトルマーメイドなどのヒロインが髪の毛を伸ばして色を変えたら、おそらく識別できないほど顔が似ている。昔のディズニー作品のヒロイン達もそうだったが、特に最近は同じ顔。個性を持たせてはいけないのか?万人受けする顔にせざるをえないのか?

 

 

 

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