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2010年12月18日

ジャガーノート(1974)

- 緊張感の保ち方が抜群に上手い -

客船に仕掛けられた爆弾の起爆装置につながる導線が二本。一本を切れば爆発は解除、しかしもう一本では起爆する・・・その怖ろしいラストが有名な作品。

爆弾の仕組みを徐々に解明していく部分も、長い時間にわたって緊張感を保っていて感心した。

いいアイディアだった。爆弾を扱う作品では決まって使われる設定。

しかし思うに、例えば解除不能の爆弾を作ることも可能だと思う。複数の爆弾を仕掛けて、どの導線が起爆するかは、自分の頭の中だけに留め、爆弾ごとにバラバラにすれば、この作品のような設定の場合は、かならずどれか爆発することになる。

導線式ではなく、ダイヤルや数字合わせなどを使うことも可能ではないか?

実際にゆれる船内にカメラを持ち込んで撮影された臨場感が素晴らしい。明らかにスタジオで済ませたなと解ると観客はしらけてしまう。でも、揺れすぎたらカメラを壊してしまうので、加減が難しい。

爆弾処理のチーフの個性が素晴らしかった。パイプをくわえながら皮肉たっぷりに話す口調、ひねた考え方、プロ意識、友情に熱い様などを徹底的に練ったキャラクターだろう。

演じたリチャード・ハリスも体格や顔つきがタフそうで、適役だった。骨太の映画に仕上がった感じ。ポセイドン・アドベンチャーほどの話題作ではなかったが、出来上がりの完成度はこちらのほうがずっと上だと思う。

いっぽうで、爆弾を仕掛けた男の個性は、いまひとつ理解できなかった。少しは観客が同情しそうな不幸な姿をしているべきでは?子供が政府に見捨てられて、無残に死んでしまったなどのエピソードは必要だったろう。

セリフの中で何度か「大戦中は・・・」と言っていた。74年当時は、まだ大戦の時代の戦士が現場で働いていた時期か?そろそろ引退間際のはずだが・・・

現代だと、この種の映画に登場するプロは、アメリカ軍の退役者しかないことになる。イギリス軍もかなり派遣されてはいるものの、ブレア首相時代以降は撤退が進んでいる。イギリス人が活躍できた時代は、だから去ってしまったのか。

この作品は、家族で観ることができる。古いファッションは多少気になるし、当時のパニック大作の名残りのような、独特の「演技のし過ぎ」が気になるが、子供たちはそんなの気にしないだろう。

「演技のし過ぎ」・・・パニック映画では、短時間に登場人物の個性を表現しないといけないというノルマがある。したがって、夫婦仲が悪い場合は、奥さんがいきなり険悪な顔つきで文句を言う。優しい顔なんかしない。もうちょっと穏やかなほうが自然では・・・といった我々の感覚は無視される。

船長の愛人?役はたびたび画面上に登場していたが、やや印象が薄かった。スタイルがよく解らなかったことが失敗だと思う。愛人役ならヌードくらいは見せて欲しい。年増だとしても、色気だけはしっかりあるところを見せないと、意味がない。

爆弾による脅迫は、世の付き物だ。幸い、身の回りには不発弾も地雷もなさそうだからいいが、沖縄あたりでは度々不発弾が爆発している。過激派がまた勢力を盛り返してきたら、我々が被害者になることもありえるだろう。

犯人との交渉は難しい。金を払えば、新たな犯罪を誘発しかねない。払わなければ、犠牲者の家族から殺されても仕方ない。特に最近は海外に出る人が多いから、海外のテロリスト達にやられる危険性が非常に高い。

中国などは、いつ公安に連行されるか解らない。アラブ諸国もそうだ。交渉の材料にされて、あっさり殺される場合もある。そのような敵に対する時には、覚悟を決める必要がある。

まず基本的に、普段から敵に利することは避けるべきである。投資して会社の利益を確保したいのは当然だが、長期的にみた場合、敵に経済的な発展を生んで有効な関係につながることは少ない。敵対意識が増すだけだ。仇となって返ってくることを覚悟しないといけない。

海外に製造拠点を移して利益を上げる企業は、国内の産業を破綻させる。国内の労働機会が減れば、国内の購買者も減り、他の業種にも悪影響がある。さらに、一国と結びつきを増やせば、その国との関係が悪化した場合のリスクも大きくなる。リスクは最小限にすべきだ。

昔からそうだったが、特に今は政府が企業を指揮してリスク配分まで指導し、協調していく時代だ。企業だけでは、外国との交渉で負けてしまう。

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