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2010年9月14日

パブリック・エネミーズ(2009)

- 真実味 -

有名なギャング、デリンジャーの物語。銀行強盗を派手にやらかして有名になったデリンジャーだったが、ある女性に一目ぼれしてしまう・・・

・・・不思議な映画。実験精神を感じる。監督が偉いのか、俳優が偉いのか解らないが、通常のギャング映画とは少々レベルが違う気がする。

暗黒街を描いた通常の作品は、やたらヒーロー、ヒロインを賛美する傾向がある。主役だから当然なんだが、本当は凄い悪人なんじゃない?と思いながら観てしまう。いかに恋物語が中心になっていようと、本当に愛し合うばかりだったとは思えない。

「俺たちに明日はない」は珍しい作品だったが、あれに近い作り方。とことん検討を重ねて、二級品映画のようなカッコだけの作品にならないように努力したのか?

主人公は実際にモテてたらしいが、ヒロインが最初から主人公を愛していた様子はない。ひとりで勝手に帰っていたりする。主人公は半ば脅すようにして関係を持っていた。本当の姿もそうだったのではないかと想像される。

やがては腐れ縁のような感じで仲間になり、実際に愛情も抱いていたと思うが、恐怖や嫌悪感もなかったはずはない。暴力沙汰もあったかも知れない。常に紳士的だったかどうかは解らない。そのへんを自然に描こうと努めていた印象。

ヒロインのマリオン・コティヤールは最近大きな映画には次々と出演している超売れっ子だが、ちょっと出すぎではないか?良妻役、家庭的な雰囲気を狙う場合に他の女優ではだめと思われているのか?

この作品でのコティヤールは、でも素晴らしく魅力的だった。当然女性がしそうな表情を的確に表現していた。嫌な顔をして一人で帰ってしまうのも、特別怒った顔ではなく、ちょっと呆れた程度の表情で、女性はよくあんな顔をしている。そういえばインディアンの血が入ってそうなメーキャップだった。

敵役がクリスチャン・ベイルだとは知らなかった。大スターのジョニー・デップの前では、さすがのベイル氏も脇役扱いなのか!捜査官のひとりは、「アバター」で敵役の軍人を演じていた役者だったが、敵役に個性を持たせようという努力を怠っていないのは素晴らしい。個性が感じられれば、物語に奥行きが出る。

真実味のあるキャラクターで主人公たちを描こうとしたことは伝わったが、それが興行的に正解だったのかは解らない。むしろ徹底的にカッコづけし、いちいちポーズを決めながらカメラ目線で二級品のギャング映画調で通したほうが、興行成績は良かったかも知れない。

カッコだけを徹底追求し、ボンクラの捜査官たちを今日も煙に巻くヒーローに徹すれば、青少年への影響は最悪だろうが、成績は良かったと思う。

この作品は家族で観る映画ではない。血生臭さ過ぎる。恋人といっしょに観る映画としては、意見が分かれるかもしれないが、悪くないと思う。やや純愛に近い愛が貫かれていると思うからだ。

ラストは良かった。号泣しないのも正解だった。

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