映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« ジャスティス(1979) | トップページ | しあわせの隠れ場所(2009) »

2010年9月26日

ライアンの娘(1970)

Photo

監督 サー・デビッド・リーン

イギリス支配下のアイルランドの村を舞台に、夢見がちな娘と、年配の夫、イギリス軍の将校、独立運動家達、村人らが繰り広げる物語。

舞台となったアイルランドの海岸、山の風景が素晴らしい。冒頭から雲の動きが激しすぎるほど劇的に変化する景色に圧倒される。海岸の風景が、これまた凄い。岸壁も急峻、砂浜はゴミひとつなさそう。

この風景を背景にして、独立運動とロマンスを絡めれば・・・と、思うのだが、なぜかイギリス軍の兵士たちは友好的で紳士的。争いは、もっぱらアイルランド人側が起こしている。そんなはずはない。さてはデビッドのやつ、イギリスを友好的に描くことで「サー」の称号を得たのか?

無理があった。大きな物語は、男女が不条理な争いに巻き込まれないと話が盛り上がるはずがない。共感を得る、涙を誘う、そういったことには不条理に対する怒りが必須だ。

絶好の背景があるのに利用しなかったのは、所詮イギリス出身の監督だからか?残念。ただし、イギリス人の心情を正確に描いていたのかも知れない。命令された通りにやってるだけというのは本当だろう。

でも、さすがにアイルランドの若者たちが皆ブラブラして、障害者をからかってばかりいるというのはひどい。真実の一面を捉えているとは言えるが、支配していた側から描かれる筋合いはない。

主演のサラ・マイルズは非常に好演だったと思う。娘時代の表情が特に良かった。すましたような顔は、若い女性には共通している。性的な欲求が根底にある状態で見られる表情のような気がする。

若い娘が性的な希望を持って悪いはずはない。勘違いしてでも構わない。恋に生きてくれないと、出生率も下がる。自分に魅力があるうちに、それを使うくらいの権利はある。魅力を振りまいていただきたい。街を歩く女性達から色気を取り去ったら、もう私は街に行きたくない。

残念ながら、夢はやぶれることが多い。イケメンと結ばれて良かったと思いきや、昨今の経済の状況もあり、夫はハローワークに通わないといけない、まさか自分が夫を養うなんてありえないと思ってたのに・・・という可能性もある。

でも、夢だけは持っていいはずだ。

欲求、野心、自信、迷い、生命力、そんな若さの持つ独特の脳内の活性が、あのような表情になって表れるような気がする。

サラ・マイルズは匂いまでしそうな演技ぶりだった。ただし、ジュリー・クリスティのような凄い美人が演じたほうが、作品の人気は出ただろう。もう少し大柄か、性格が強そうな女優のほうが迫力が出ていたかもしれない。少し印象が薄かった。

「風とともに去りぬ」が印象深いのは、ヒロインが激しい性格の持ち主だからだ。こっそり逢引したりしないで、怒り、泣き、笑いを激しくやって欲しかった。とんでもない女だったという全体の印象の中で、内に秘めたやさしさが表現できれば、愛されるキャラクターになるのでは?

この映画の描き方だと、娘をプリンセスなどと言って甘やかすなという論調のようだ。確かに甘やかしてはロクな結果を招かない。厳しくしつけておけば、そもそもこんな運命にはならなかったかも。でも、主人公は自分の父親がしたことを理解し、あえて密告者が誰かを叫ばなかったようだ。甘やかしの効果も少しはあったかも。

共演のロバート・ミッチャムは意外な配役。当時もそう感じられたはずだが、今見てもそう思える。もっと痩せたインテリ風の白髪混じりの老人が良かったのでは?

夫はEDだったらしいが、今なら良い薬が手に入るはずなのに可哀相な時代。今でも、まがい物をつかまされないように注意しないといけないかも。ちょっと前は電柱に「バイ○グラ特価」と紙が張ってあったが、そう言えば最近見かけないような気がする。

個人でもインターネットで購入できるからか?他のいい薬のほうが人気が有るのか?

共演の神父役、障害者役は役柄も良かったが、演技ぶりも良かった。いかにも賞をもらえそうな、おいしい役だったと思う。

できればイギリスとアイルランドの対立を軸に、ロミオとジュリエット風の作品にして欲しかった。当時だと監督はIRAに殺されたかもしれないが、対立の中の悲劇をメインにすべきだったと思う。不倫が中心では仕方がない。

 

 

 

« ジャスティス(1979) | トップページ | しあわせの隠れ場所(2009) »