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2010年9月18日

ジョンとメリー(1969)

- ケンとメリー? -

ジョンとメリーはパーティーで意気投合し一夜を明かした。相手の名前も知らない。朝食を摂りながら、会話をしながら、互いに相手を知ろうとするが、どうやら一夜限りの関係に終わりそう・・・

・・・子供の頃から題名だけは知っていた。でも子供の興味が湧く内容ではないし、作品を観れなかったので、スカイラインのコマーシャルの「ケンとメリー」とごっちゃになってしまって、車の宣伝の話と勘違いしていた。どこかにドライブに行く物語かな?なんて。

小品だが佳作。印象に残る恋愛映画だと思う。

何が良かったかと言うと、互いに頭の中で相手を探り、独白で評価を述べる、その考えを丁寧に描いていた点。

「退屈な話。興味ないもん。」「こいつは引っ越してくるつもりだぜ。危ない。」「既に逃げに入ってるな?」などと、実際に感じそうなリアルな印象をセリフにちゃんと再現していたのが素晴らしい。

合コンなどで話す時には相手の品定めをやる。当然ながら相手もそうだったろう。たぶん私に関しては「この男、最低。何を考えているんだか理解不能。将来の見込みゼロ。」と、思われていたに違いない。たぶん、彼女らの勘は正しかった。

腹のうちを探る、その会話の表と裏を忠実に再現しながら、観客には主人公たちが結ばれて欲しいという感情を起こさせる手腕が素晴らしい。よほど脚本を練ってあったのだろう。

舞台となった主人公の部屋も雰囲気を出していた。芸術家風の、やたら広くて構造が複雑な部屋。若いインテリが好みそうな作りだ。

あんな部屋に住みながら、たまにパーティーで女の子を物色し、でも基本的には部屋で料理などしながら趣味のレコードでも聴いてみたい。そんなスタイルに憧れていた。

でも連日パーティーに行くほどの金と元気がある人は多くない。自分も若い頃は病院で寝泊りするか疲れ果てて寝ているか、仕事に追われて家でも何か書いているか、外で男たちと下らない遊びをするばかりで、出会いの機会は少なかった。

ヘンデルの音楽を聴く人は珍しいと思うが、主人公のキャラクターを表すためには最適だったかも。ベートーベンでは、より一般的で個性がない。

Photo_3

ああ、この写真、この表情が凄い。

個性的なヒロインのミア・ファロー。彼女は「華麗なるギャッツビー」の印象が強いので、愛せるキャラクターではないと感じていたが、この作品では私も直ぐ愛してしまった。ヒロインを誰にするかが、この作品を決めたのかもしれない。ダスティン・ホフマンも上手かったが、決定的存在ではなかった。

例えば、色っぽい女優やハッとするほどの美女だったら、自分の立場を守ろうとする懸命さ、弱さがにじみ出てこない。あっさり男をフッてしまうのが自然に思える。

だからといって、良妻賢母風の女優でもいけない。男女が下手くそな手練手管を出そうと苦心するまでもなく、直ぐ結婚しないといけなくなってしまう。ふったりしたら、可哀相で、主人公に非難が集中する。

どこか現実離れして無理して生きている、生活感が感じられない、農村では絶対に通用しないようなキャラクターの女優を探してこないといけない。それが彼女だった。そういえば、彼女のような女性はいたなあ。何を考えているのか解らないから別れてしまったが、良かったのか悪かったのか?

今の奥さんも何を考えているのか皆目解らないので、あのまま付き合っても良かったのかも・・・

恋愛が継続するのは、相手に対する分析が正しいかどうかは関係なく、相手を許容範囲の人物と認識するかにかかっているんだろう。後で誤解していたと気がつくとしても、とりあえず本性を隠すことに成功したら継続する、「これは許せない、譲れない」という部分をさらけ出して、相手が納得しなければそれまでよっ、てな暴露合戦を小出しでやるのがルールみたいなものだ。

本性を隠すのは相手に失礼だと思う私のようなバカ正直な人間は、すぐふられる。失礼という感覚よりも、まず交際しなきゃ解らないじゃんと考える人間は本性を小出しにするから、とりあえず継続する可能性が高くなる。主人公も最初は多少のカッコづけをしていたが、あのような演技がないと恋愛は成立しない。

人への対し方の基本によって、だいぶ違ってくるのだろう。その差は仕方ない、加えてこの容姿・・・と若い頃から私は達観(アキラメ)していた。

この作品、演出も自然だった。無理した印象がない。

こんな恋愛してみたかった。うまく関係が成立した時は、心から嬉しくなるものだ。ジョンとメリーさん、この先どうなったかは解らないが、幸あれと願いたくなる。確率から考えると、激しい離婚劇を演じた可能性が高いのかも・・・

大恋愛のドラマではなく、乱闘もないつまらないラブ・ストーリーなんだが、心に残る佳作だった。恋愛中の人には最高。

 

 

 

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