映画評

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2010年8月16日

インフォーマント!(2009)

Mattodeimonn 

- 映画も戦略? -

穀物メジャーのひとつ、ADMの役員マーク・ウィテカーは、内部告発をする。同社がカルテルを結んでいるという内容。FBI捜査官は、彼の証言により捜査を開始するが、様子がおかしい・・・

この作品は相当な傑作。ソダーバーグ監督の作品は、傑作もあれば時々理解不能のものがあるので、あんまり期待しないで観始めたが、これはスタンスといい、ナレーションといい、そもそものコンセプトが素晴らしかった。本人の了承を得て作っているのか気になったが・・・

音楽も良かった。最後のほうで「オレを信じろ!」という歌詞の曲が流れていたが、あれがピッタリくるから全体の音楽を統一したのかも知れない。とぼけた雰囲気が強調された。

演出も良かったが、脚本も素晴らしかったのでは?「全て明らかにしろ。何も隠すな!」「しつこいな!これで全部だ!」と、言いつつ懲りずに隠し事をする主人公がおかしい。隠しマイクに向かって延々と解説をしながら歩くのも傑作。「俺は0014だ。」ってなギャグもおかしい。

ナレーションを本人にさせるのも素晴らしいアイディアだった。緊迫しそうな場面で、全然関係のないくだらない内容のコメントをするとおかしい。

この作品は、小さい子には理解が難しいかもしれないが、小学校高学年くらいになれば楽しめると思う。恋人といっしょに観ても悪くないのでは?爆笑する映画ではないが、極端に退屈する人は少ないと思う。

「味の素」の会社名が頻繁に出ていた。主人公の会社も実名だ。実名で構わないと思う。会社にとっても、主人公の人物像に注目が集まれば、会社への直接攻撃を回避する効果を期待できる。それに、既に有名な事件で皆が知っているから、いまさら隠す意味もない。会社が、あたかも変人に振り回された被害者みたいに演出する効果もある。

おそらく役員会で、そのように判断了承されたのでは?

主人公がどのように考えて行動したのか興味がある。もしかすると、善良かつ優秀な人物で、ただ計画がお粗末だったために会社の宣伝戦略に負けて、マヌケのレッテルを貼られてしまっただけかもしれない。ありえるような人格~人物像と思う。

政治家達を見ていて、似たような姿を垣間見ることがある。菅総理や鳩山前総理は、総理になる前は戦略もしっかりした人物であるかのように見えていた。舌鋒するどく自民党を攻撃し、さぞキレモノかと思ったが、総理になってみると何を考えているのか解らない状況。

たぶん、私が総理になってもそうかもしれない。舞い上がってしまうのかも。現場にいないのに報告だけで決定を下さないといけないし、やたら時間に追われるので、ゆっくり考えることもできない。何か間違えれば袋叩きにあうし、そのプレッシャーは想像もできない。

消費税を上げると言えば現実的路線であり、自民党の攻撃材料を奪うことができるという考え方も成り立つのは成り立つが、選挙の前にぶち上げるなんて自殺行為と気づかないといけない。普天間基地の問題は、交渉が進んで解決の確証ができてから発表すべきだ。理想を訴えて支持を集めるべき時と、失敗して行き詰る時のリスクの計算が足りなかったのでは?

その辺は外部からは解るが、閉ざされた世界では解らないのかも。だから、補佐官に問題があったはずだ。ちゃんと忠告、助言できないといけない。役人は助けてくれないから、補佐官が頑張るしかないはずだ。冷静に判断できる人物を、自分のそばに置かないといけない。

確実な効果を狙えること以外は、大臣や補佐官を表に立たせて、自分は後ろで慎重にコメントするほうが利口だ。客観的な目で見てもらってから発表しても遅くはない。

主人公は、自分の汚職をどのように扱うのかに関してFBIと裏取引の約束をしていたのかも知れない。FBIはカルテルの告発をするならリベート問題には目をつぶる口約束をしていたが、会社側が公表してしまったので、約束を反古にしただけかもしれない。つまり、ウィテカー氏はFBIに裏切られた哀れな子羊なのかも。

上役が自分の得たリベートを承知している・・・それなら公表してくるはずだ・・・といったヨミがなかったというのは不自然だ。FBIには言っていたと考えたほうが自然では?FBIが目をつけて、情報を出さないと破滅させると脅したあげく、約束を反古にしたと考えるべきだろう。

可能性は低いが、本当にFBI側に秘密にしていたのかもしれない。絶対にバレない自信があって、自分が会社の中で生き残れると考えていたのかも。そのへんは解らない。主人公がおかしい人物だったかどうかは、映画の通りとは限らない。

この映画にADMや味の素が協賛していたりして。それくらいの戦略は考えているだろう。

会社側の戦略としては、告発者を攻撃し、信憑性をなくす戦略に出たのは正しい。信憑性が薄れれば、検察側の心象も悪くなり、追求がやりにくくなる。罰金を払って被害を最小限にできる。問題をカルテルから汚職にすりかえるのは、狙うべき戦い方だ。

国会で厳しく攻撃してくる厄介な人物がいたら、その人物の弱点を探し、個人攻撃に出るべき。問題をすり替え、勢いを落とすのが通常の手段。どこでもやっている。某国の検察もそうだ。

我々も始終、乗せられてしまってる。カルテルの害は数億ドル単位、汚職は数百万ドル単位、悪質さの度合い、重要度から言えばカルテルのほうが断然大きいのに、面白さに捉われて、汚職に目がいってしまってる。それでいいのかよ!

鳩山氏や小沢氏の不正も、自民党政権がやってきた害と比べると問題にするのがアホらしいほどのことだが、随分注目させられている。すり替えの一種だと思う。不正には違いないのだが・・・

密告者を保護する法律は必要。不正を報告したら、本人の罪はほとんど反古にすること、身に危険が及ばないこと、生活保障、そのへんを定めないといけない。リベートは返還すれば不問にするのが当然か。

 

 

 

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