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2010年8月 9日

ヒマラヤ杉に降る雪(1999)

Photo

- 大事なのは見た目 -

監督 スコット・ヒックス

シアトル近郊の島。そこで育った日系人少女と白人の少年は恋をするが、戦争の勃発で少女は収容所に送られ実らぬ恋に終わる。そして終戦後、少女の夫が殺人罪の疑いで告訴される・・・

・・・非常に珍しい題材。アメリカ人の良心が感じられる作品。原作は長い小説だったらしい。映画もかなり過去と現在が交錯し、複雑な構成。娯楽作品ギリギリに芸術的な手法を織り込んだ感じがする。

戦場となった砂浜で子供達が遊んでいるなんて、意表をつく効果はあったが、一般受けするかは不明。

あんまり楽しい映画ではない。子供には受けないだろう。小学校高学年以上ならば、真面目な子なら見てくれるかも知れないという印象。恋人達が観るのには悪くない。泣いてくれる女性もいるかも知れない。佳作。

暗いトーン、雨や雪のシーン。停電のシーンまであって、全体に色が暗い。それが雰囲気を作るのに役立っている。

イーサン・ホークは大勢に流されそうになりながらも信念を貫こうとする役柄が似合う。「今を生きる」の時代からそうだ。ただ、ちょっと表情が読みにくい。本来は悪役に向いているような気がする。

そのほかの役者達も一流だった。マックス・フォン・シドーやジェームズ・クロムウェルなどが出演している。鈴木杏の少女時代は非常にかわいらしい。工藤夕貴が大事な役を演じているのが日本から見れば意外な感じがしたが、やはり語学力の関係などで他に適当な役者がいなかったのかも知れない。

当時の工藤は、日本ではアイドルになりそこなった二流の女優のようなイメージだった。この作品でも心を揺さぶるほどの名演だとは思えない。もっと年増でいいから、色気を感じさせる女優のほうが主人公の気持ちを理解させるためには向いていたと思ったし、今回観てもそう思った。

見た目が大事って、綾小路きみまろも言っていた。

法廷劇を最近いくつか見たが、本当にアメリカでは裁判長が公平なのか気になった。ガチガチの人種差別者の裁判官なども、いないはずはない。「真珠湾攻撃の日と判決には何の関係もありません。」などと述べる裁判官が本当にいるのだろうか?

日本では法律の精神なんぞ無視して、国に有利な判決ばっかり下すのが常だったが、最近はアメリカ流の判決も増えてきた。結構、世論を気にしているようだ。法律の文章通りに解釈してほしい。法律が実効性を持つためには、司法業界の意識改革が必要だろうか?それはおかしい。常に法の文章に従うべきだ。

アメリカでも日系人への迫害に関する作品は多くない。ほとんどはユダヤ人への迫害を告発するもので、多少はインディアンに対する反省もあるかな?程度。この作品の公開当時はまだ日本の景気が良かった頃なんで、敬意を感じる人も多かったのかも知れない。今だったら無視されるかも。

歴史の反省に立った作品は、日本ではさらに少ない。朝鮮人と日本人の恋と戦争を絡めた作品はあったろうか?少なくとも、描き方が随分違うような気がする。朝鮮人被告が裁判になった映画があったろうか?現実的にも憲兵に殺されるかして、裁判にすらならなかったような気がする。

 

 

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