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2010年7月11日

ラブリーボーン(2009)

- 絶妙のセンス -

主人公の少女は14歳で変質者に殺された。彼女の魂は、その後の自分の家族を見守る。家族は深く傷つき、仲違いし、すべてがバラバラになりそう・・・

・・・主人公が死んでからの世界の表現が素晴らしかった。夢のある美しい映像、イマジネーションあふるるCGは素晴らしい芸術的センスを感じさせた。

原作が非常に考えた作品だったようだ。

連続婦女暴行、連続殺人犯の報道で被害者の顔写真が並んだだけでも嫌になる。親が見たら耐えられないだろう。「なぜ自分の家族が事件に巻き込まれたのか?自分達に何か落ち度があったのか?犯行を止められなかったのか?」そのような怒りと悲しみが止めどなく出てくるだろう。そんな事件を扱う場合の手法には相当な注意が必要だ。

犯行を正確に描いたら、ゾンビ映画と変わらない気持ちの悪いものになる。陰惨で救いようのない、観た後にも後味の悪い、どうしようもない映画になる。そこで考えたのだろう。非常に変わった展開の仕方だった。

例えば幽霊が皆に警告して犯人を逮捕するわけではない。家族と直接会話をするわけでもない。結局は犯人のなすがままになってしまい、その面では救いようのない展開で、爽快感は味わえない。それでいて、家族の愛情を上手く表現できている。美しい映像と、主人公の可愛らしさ、セリフの良さなどがあったからだろう。なかなか難しいことだと思う。

父親の趣味に娘が理解を示す下のシーン。趣味に大きな意味があるのかどうか解らないが、何かはある・・・

Raburi  

家族の皆がひどく傷つくが、時間と自力で回復していく。奇跡的な出来事によるのではなく、あくまで人間同士のやり取りの中でという点には原作者の意図があったのか?今までの映画では、奇跡のオンパレードで家族や恋人が守られるのがパターンだった。「ゴースト」などが、その典型。そのような安易な路線が嫌だったのか?

ほんの少し、少女の夢をかなえてあげるエピソードはあった。ラストを除けば、ほとんど唯一と言ってよいほどの小さな奇跡だったが、あれくらいはかなえてあげないと可哀そうだ。

自分が14歳の頃は、少女とキスをするなんて、そんな怖ろしいことができる自信がなかった。嫌がられて「変態!」と、言われるのが怖かったのだ。デートすらできなかった。田舎町だもんで、行ける場所がなかった。手をつないで歩こうもんなら、次の日には学校中はもちろん、家や親戚一同、こちらが知らない人にまで噂が拡がりそうだった。

たまには冗談めかしてやっちゃおうかな?などと心の中で計画することがなかったわけではないが、現実的に考えると中止すべきと考えた。ちょっと神経過敏になっていたんだろう。

主人公にも相当な思い入れがあったようだ。それがかわいらしい。

父親役のマーク・ウォールバーグは最近アクション映画に出ていたが、全然タフな感じがしないので違和感を感じた。この作品では、今度は父親の威厳には欠けるような印象を受ける。自由に生きるミュージシャンが本来もっとも合う役柄だと思う。髪型くらいは変えるべきではなかったか?

母親役のレイチェル・ワイズには最初は気がつかなかった。随分痩せたような印象。セクシーな探検家の役柄からは想像もつかない母親役だった。特に上手いという印象は受けなかった。キャラクターとしての魅力に欠けていなかったか?単に出番が少なめだったからか?

悪役はターミナルなどにも出演していた俳優だったが、たぶん口に詰め物をしてメイクをしていたようだ。目立たない普通の人物を演じるのは難しい。大事なキャラクターを上手く演じていた。

主人公のシアーシャ・ローナンは可愛らしい顔つき、特に目の青さが目立った。今後果たして美しい女優になるかは解らないが、演技力は相当なものらしい。やがて悪女役になるような予感がするのは私だけか?

さて、この映画は家族で観るのは問題ないか?変質者の映画は基本的には子供に見せるべきとは思えない。どんなに美しい話で、家族愛にあふれていても。この映画を見たら、大多数の子供は「用心しよう。」と思うだろうが、ごくごく少数派は「少女を連れ込むと楽しいのかな?」と感じてしまうかも。そんな感じ方をする人間がいることは現実なのだろう。

恋人といっしょに観るのはオススメだ。内容が高尚だし、だといって難しすぎないし、映像が実写もCGも非常に美しいし、適度なサスペンスもある。なにより、観た後の印象が良い。それが大事だ。 

 

 

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