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2010年7月28日

マイティ・ハート(2007)

- 戦意高揚 -

パキスタンで取材をしていた記者が誘拐された。記者の妻は警察や情報機関と協力しながら、救出活動を開始する。しかし犯行グループの正体が解らない・・・

・・・犯行グループの正体を暴くサスペンス、妊娠中の妻を襲った悲劇を描くメロドラマ、現在のイスラム圏と欧米諸国との対立などを描いた快作。でも、特に賞を取ったりはしていないようだ。

単純にテロリストを非難する作品ではなく、華々しく戦い勝利する場面もなく、静かな闘志を訴える内容。当世風の戦意高揚映画と言えるかも。

緊迫した場面が続いたので、よくできていたと思う。反面、激しい銃撃戦で人がバタバタ倒れるようなアクションは少なかったので、エンターテイメントの要素は不足していた。

主に活動するのは主人公ではなく、警察官などなので、救出活動がいかにスリルに満ちていても、所詮はのめり込むほどの一体感はない。この点は最初から決まっていたことになる。

原則から言えば、主人公を別な人物、例えば現地の諜報機関員にすることも考えるべきではなかったか?ただひたすらヒットを狙うためなら、そうすべきかも。

脇役となった妻は、本来の演技をすればよい。きっと観客は彼女に同情してくれる。この作品の作り方だと、他の仲間が活発に活動しているのを、過去を思い出しながら眺めるしかない人物を主人公にしたことになる。観客は同情してはくれるが、感情移入の仕方が淡白になりやすい。

アンジェリーナ・ジョリーが適役だったのか解らない。本来のキャラクターはタフでセクシー、アクションも得意な女スパイといったところだ。役柄の転換を図る必要はあるが、特徴と作品の内容とが合致したキャスティングとは思えない。

Photo_3  

上の写真の女性は、この役にはふさわしくない。別の戦意が高揚しそうだ。もっと可憐な印象の女性でも良くなかったろうか?

主人公達の仲間の仕事ぶりには感動した。困難な状況でも強い意志を持ち、諦めずに対処しようと努力する。まさに欧米伝統のたくましい生き方を感じた。その強い意志こそ、敵を倒すために最も必要なものだと言うのが、この作品の主題だろうか。

緒戦では今回のように負けてひどい目に遭うこともあるが、強い意志を持ち続ければ長期的には負かすことができる。情報収集、兵站などを怠らない、伝統的な執念。

ただし、テロリスト側になってみれば、考え方も当然違ってくる。

ジャーナリスト達とCIA、軍部はつながりがある。情報はもれてしまう。したがって民間人とは言っても、ジャーナリストと軍人を明確に分けることはできない。ほとんど敵といってよいだろう。銃を持っているかどうかは関係ない。本人の意図とは関係なく、現地人に不快な結果を招き、結果として住民が殺されるのだから。

敵を誘拐して何が悪い?ってな考え方も成り立つ。民間人だからというのは言い訳に過ぎない。そこに存在すること自体が悪だとも言える。

民間人である教会関係者、商人が現地に入る。そこで、現地人と何かのトラブルが発生、キリスト教徒を助けよ!ってな調子で現地を制圧してきた歴史がある。したがって、民間人と言えども軍の手先と考えるのが自然ではないか?

現地に入った時点で、危険は覚悟すべきだ。何が起こっても当然とは言えないが、不思議ではない。家族が皆殺しにならなかっただけでも敵は比較的人道的だった、という考え方もできる。もちろん誘拐殺人は悲惨で、あってはならないことだし、殺された人やご家族は本当に気の毒だ。

 

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