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2010年6月10日

ファーゴ(1996)

- 思わぬ展開シリーズ -

借金返済のため?に偽装誘拐が計画された。ところが、使った車にナンバープレートを付けていないという初歩的なミスから警察に車を止められ、思わぬ事態に陥っていく・・・

・・・コーエン兄弟がアカデミー脚本賞を取った作品。完成度が非常に高く、独特な演出が光る。役者達のキャラクターをいかに際立たせるか、陰惨な事件にユーモアを漂わせ、物語としての魅力を出せるかについて、よく考えてあった。

やった演出は見事なもので、出来上がった全体の雰囲気が非常に珍しい。ここまで徹底して全体を構成できた映画は少ないと思う。コーエン兄弟は、その後も「思わぬ展開」のシリーズが得意のようだ。この作品で成功したからかも。ちょっとワンパターンか?

それこそ、「ノーカントリー」のような事件物で生きてくる手法。コーエン監督達は映画学校で学んだ本物の芸術家らしい。やっていることは極めて正常で、画期的でもなんでもない。やるべきことを適切な手段でやっているだけである。

でも、なかなかそれができない。

日本人でも同じようなアイディアを持つ映画人は多いと思うが、完成度の高い作品にはつながっていない。陰惨すぎてしまって観るに耐えないレベルに止まるか、ユーモアが見当外れ、ウソっぽい印象につながったりしている。おそらく斬新なアイディアが出ても、意志を統一できずに、仲間が寄ってたかって反対して完成に持ちこめないのではないか?日本では、正しい判断が仲間全員に反対されるという習慣(!)がある。

サッカー日本代表の試合を見ていて感じたが、シュートできない状況が長く続いている。日本チームの宿業になっている?考え方の問題、慣れの問題だと思うが、指揮官が厳しく統制しすぎて、ボールを上手く回す流れにこだわりすぎているようだ。一人のファンタジスタが良いアイディアでゴールを意識しても、チームの意識がついていけない。その繰り返しのようだ。

指揮官は、絶対に外人が良いと思う。オシム監督の病気は残念だった。現役時代にスター選手でなかった実力派監督を連れてきて、何が必要かを明確に判断してもらうべきだろう。映画でもそうだ。明確なコンセプトがないと、まとまりのない作品になってしまう。

この作品は、本当は全くのフィクションだそうだ。映画の最初に「この物語は実際に起こった事件で・・・」うんねんの解説が入るが、それも演出らしい。法律には違反してないだろうが、そこまでする必要があるのかは解らない。映画のキャラクターとしては、犯罪者がマヌケのほうが面白い。本物の犯罪者たちを出しても、気味が悪いか、退屈するだけだろう。

誘拐犯の二人の組み合わせも傑作だった。二人ともよく悪魔や犯罪者役で出ている役者だが、極端に無表情で無口な大男と軽いおしゃべりの性格破綻者が喧嘩しながら仕事するのは、傍から見ると笑える。実際の犯罪のようにギャングが二人そろっても面白くない。この二人の設定が非常に効果的だった。作品のレベルを決めたんだろう。今になって思えば、下の大男の犯罪者のキャラクターは、「ノーカントリー」につながっていた。

Fago

警官役のすました表情、その夫の無表情もおかしかった。やりすぎるとシュールになって観客達の反感を生むが、二人の愛情が伝わるような会話の中での無表情は面白い。夫が普通の人物だったら、登場する意味すらない。そのへんを理解している演出だった。

売春婦役の二人の話し方も、その二人への尋問もおかしかった。考えてみれば、普通の人物が出演していたっけ?皆、どこかおかしかった。

身代金を独り占めしようとして隠すシーンも面白かった。金を隠す場所が何の目印もない場所であることに気がつき、雪かきかシャベルのようなものをチョンと立てるなんて、いかにも頭が足りなさそうなキャラクターの表現。その後の歩き方まで徹底していた。

BGMもよい雰囲気だった。重々しい曲で、作品が浮きすぎるのを抑える効果があったようだ。曲や音響も非常にこだわっていたようで、不気味さや幸せなどの雰囲気をかもし出す工夫を怠っていない。オタクならではのこだわりがあった。

この作品は、子供には良くない。恋人と観るのには悪くないと思う。夫婦で観るのはどうか?ちょっと相手の顔色が気になるかもしれない。お互いが疑心暗鬼にならなければ良いが。無表情のまま「アタシ、パンケーキが食べたくなった。」なんて言われたらゾーッとする。

「君は借金してないよね?」くらいは確認しておくべきか・・・・

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