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2010年6月24日

ニクソン(1995)

- 空白部分に何が? -

リチャード・ニクソンの生い立ち、両親の影響、妻との関係、様々な工作などを時間を行き戻りしながら描いた3時間を越える長い作品。

ニクソンを好意的に描いているわけではないが、一方的に批判しているわけでもない。真実ばかり、解っていることばかりを忠実に描いているわけではなく、多分に虚構と思える内容も多い。

そもそもニクソンの物語に3時間も必要とは思えない。そのへんの感覚がおかしい。

問題は執務室の会話の記録テープの空白の部分で何が語られていたかだが、監督の言いたいのは、おそらくテキサスの実業家達がJ・F・ケネディの暗殺を企てていたことを知っていた、もしくはニクソン自身も加担していたといった内容と思える。実際には解らないが。

テープで会話が記録されていることは、就任前からニクソンは知ってたはずなので、暗殺がらみのことは絶対に話すはずはない。本当の打ち合わせは、廊下やトイレなどを使って手短に済ませるはずだ。テープに残る内容は、大勢のスタッフと公表できる内容について話す場合だけだと思う。空白の部分に、何かまずいことを話したのは間違いないが、露骨な内容ではないと思う。

問題のテープには、おそらくコピーがいくつかあるはずだ。国会図書館、CIA、FBIの各々の倉庫くらいには少なくともコピーを残しておかないと記録上の問題が生じるはずで、やがて公表されることを期待している。

ニクソンは映画ほど貧乏ではなかったらしい。でも大金持ちが多いアメリカでは裕福とは言えない生い立ちだったのは本当らしく、敬虔で質素な生活から、強力な成功の野心を持って上り詰めた立志伝中の人物であると思われる。

この作品では、ギャングたちと直接交渉するシーンはなかったが、スタッフに激しい内容の指示を出す場面はいくつかあった。CIA長官のフーバーは、この作品ではギャングそのものだった。実際はどうか解らない。FBIを描いた昔のテレビシリーズでは、カッコいい切れ者だったと記憶しているが・・・

敵の暗殺はもちろんいけない。ある意味ではベトナムやカンボジア国民などは大っぴらに大量に暗殺されたに等しい。ゲリラがいるから殺す、ついでに住民もやむを得ない・・・という感覚が信じられないが、当時のホワイトハウスの人達にとっては、東南アジアの住民など人間としての価値は感じられなかったのかも。守るべきアメリカの権益のためには、敵を粉砕するべし、その他のことは気にしないといった感覚か?

主役ではないのだが、ケネディはアメリカの希望を体現するヒーローとして、この作品では繰り返し記録フィルムで登場している。ニクソンは、注目度から言えば脇役に過ぎない。実際のケネディもニクソンに負けず汚い手段で選挙を戦い、失策もあったと思える。ベトナム戦争ではニクソンほどの功績を残していないように思える。見た目が好印象なので、随分得をしていると思うが。

私は上流階級育ちの先生達と比べると品がない。落ち着きもない。威厳の欠片もない。その点でニクソンを応援したくなる。

今日の日本の状況では、鳩山前総理のような育ちの良い人物より、ニクソン型の政治家が望まれるような気がする。国を守るためには手段を選ばないほどの強靭さが欲しい。鳩山氏も精神的には相当タフらしいが、所詮は学者肌のようだ。言わないほうが良いことを正直に話しすぎていたと思う。

麻生元総理は、変な作り笑いが気になった。お坊ちゃんの弱さを感じた。安部、福田元総理達も突然仕事を投げ出すなんて、やはり弱さの現われではないか?

中国や欧米諸国と渡り合って国の権益を守るのは容易ではない。ギャングまがいの手段ででも、資源と安全保障の確保に努め続けないといけない。どれだけ人から非難されても、必要ならやる覚悟が必要だ。細やかな神経の人間ではいけない。ヤワな神経では務まらない。

 

 

 

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