映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« グレン・ミラー物語(1954) | トップページ | スミス(氏)都へ行く(1939) »

2010年6月 2日

セント・オブ・ウーマン(1992)

- 偏屈者物語 -

盲目の元軍人と、カレッジの学生との心の交流を描いた作品。佳作と思う。

セントは、匂い、良い香りに相当する言葉らしい。スメルは良いも悪いも含めた嗅覚の表現だが、良い香り、特に女性の香りのようなものを表現する際には、多少文語的なニュアンスで使う言葉であろう。

作品の主題とセントはあまり関係ない。でも、例えば美しい女性とタンゴを踊る前に、「あなたの匂いは・・・ですね。」と話しかけると、相手は男が女性に詳しい、しかも繊細な感覚を持つ人物であることを想像できる。この種の会話は誘う場合には有効だ。

もし匂いが外れていたら大変だ。「・・・の香りですね。」「いいえ、○×ですわ。」となったら、もう退散するしかない。

匂いに敏感な主人公は、キャラクターとして魅力的だ。ただに偏屈者ではない、ちゃんとした過去の経験、ダンディーぶりが想像される。ただのガチガチの軍人ではなく、結構な女性経験も踏んでいること、ダサくないことなどが好感につながる。

この映画でアル・パチーノの声をアフレコしていたのは、イーストウッドなどの声を担当している声優か?よく通る声で、迫力があった。

アル・パチーノの視線が素晴らしかった。盲目の人物を演じた役者は多いが、目を開けたままだと視線が動いてしまってリアルさが損なわれる場合が多かった。パチーノの場合は実にリアル。アカデミー賞ものの演技だったと確かに思う。

この元軍人は口汚い言葉で家族からも嫌われており、自分でも生きることに絶望していたようだったが、ラストでは青年の影響で何かが変わったようだ。姪っ子とも仲良くしようとする姿勢が感じられた。そのへんの流れが好感を持たせる。

最初に汚い言葉で観客に反感さえ感じさせるのは、他にもよく見かけるパターンだ。クリント・イーストウッドの出演作はほとんどがそうだ。偏屈物が何かに心動かされて活躍し、純真な若者を救う、そして自分は犠牲にもなる、そんなパターンだ。

この作品で主人公は犠牲にはならなかったようだが、主人公を救っていた。そのために、美しい話になった。偏屈者映画の伝統には則っていた。

今でも時々、初恋の女の子の匂いを思い出すことがある。まさか小学生が香水を着けていたはずはないので、たぶん元々の体臭や石鹸の匂いだろうと思うが、良い香りは、それだけで幸せを感じさせる。

自分の体臭には自信がない。ちゃんと風呂に入っているが、汗が凄いのか、免疫力の関係か、野生動物のような臭いに自分で愕然となることがある。これでは女子が寄り付かなかったはずだわ。彼女らは正しかった。

臭いは原始的な感覚なんで、感情に直結する。良い匂い=安全、好感。臭い=危険、腐っている、反感などに直ぐ結びつく。

もてたいと考えて香水のような香りの石鹸を使うと、体に与える影響が気になる。そこまでしたもてなくても・・・と考えてしまう。そこでの覚悟、根性?が自分に不足していた。命を懸けてでも、女子とお近づきになるように頑張るべきだった・・・オーバーかな?

 

 

 

« グレン・ミラー物語(1954) | トップページ | スミス(氏)都へ行く(1939) »