映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主


Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« アルフィー(2004)  | トップページ | ノウイング(2009) »

2010年5月 4日

2012(2009)

- パニック映画の伝統 -

地球の終末の日が近づいていた。太陽のフレア爆発によって発生した宇宙線により、地球の内部が高温となり、ついに地殻が大きな変動を始める。人類が生き残るため、密かに計画が始まるが・・・

2012というと・・・もう直ぐに迫っている!

地殻は地球上の表面、ほんのわずかな厚さで浮かんでいるに過ぎないそうだ。実際に中をのぞいたことはないんで地質学者の言うことを信じるしかないのだが、そうらしい。安定した大地のイメージがある大陸も、一歩間違えればマントルの下に入り込む可能性はある。この映画のような大規模な地殻変動の可能性がないわけではない。

ただし、実際に宇宙線によってマントルが加熱するとは思えない。水星は太陽に非常に近い惑星で大量の宇宙線を浴びているはずだが、夜側は冷たいそうだし、内部からマグマが噴き出し続けているわけではない。いちおう固まっている。ということは、多量の宇宙線を浴びても、内部に熱を持つとは考えにくい。

大きな隕石ならばありえる。隕石のような大きなものが地球にぶつかると、たぶん津波ではなく、マントルそのものが吹き出すはずで、火山が横に火砕流を吐き出すような熱波が広範囲に害をもたらすだろう。地球全体の表面温度を変えてしまうに違いない。

以前の「ディープ・インパクト」や今回の作品で違和感を持ったのは、襲ってくるのが水の津波であったことだ。水は地殻の表面に溜まっているにすぎないので、そんなに大量にはない。実際は溶岩~マントルそのものが襲ってくるし、衝撃波や熱風でまず生身の人間は死んでしまうはずだ。箱舟で逃げても丸焼けと蒸し焼きの違いが生じるくらいでは?

マントル流の周辺では本当の津波になるだろう。凄い規模になるに違いない。

エメリッヒ監督はよく解らない人物だ。前作の「紀元前1万年」でも、凄い映像美のCGを見せてくれたが、内容、ドラマの部分が盛り上がりに欠けていた。今回も、CGは素晴らしい出来だったが、逃げる途中で倒れるビルの中に突っ込んでくれたり、ギリギリに飛んで着陸用タイヤを破損してくれたり、わざとらしいシーンが気になった。

観客をバカにしているのか?

せっかくの技術を生かし、人に感動めいたものを与えようと考えるなら、もっと自然な演出にすべきではなかたったか?

地震が起こったときの人の表情は、皆が一瞬のうちに恐怖でギャーギャー言うわけではない。ある人は興奮して一瞬嬉しそうな表情をするし、直ちに状況を察知して隠れる物を探す人、ただ怖がる人、いろんな感情が次々起こって、表情を変えるのが普通だ。そのへんがマンガ的なレベルに止まっていたため、不自然だった。

妙にリアルにしすぎると観客の楽しみを失ってしまうかも知れないが、共感を得ようと考えるなら、ある程度の現実味も必要ではないか?

主演のジョン・キューザックの存在意義が解らなかった。例えば、ニコラス・ケイジでも良かったかも知れない。似たような映画に出ていたから敬遠したのか?結婚生活や仕事に失敗している主人公が怖ろしい人類の危機に立ち向かう、家族愛に満ちた行動、厳しい決断、そのへんが「ノウイング」と「2112」は共通していた。何か情報が行き来したのか?

パニック映画の歴史は長い。映画の前にも小説などがあったはずだが、やはり特撮CGなどの効果がある映画は、迫力が違う。自然災害や事故などを題材にすると怖さがインパクトを与えてくれる。私の世代の映画の代表は、「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」だろうか?当時の大人が見たらくだらなかったかも知れないが、私の少年時代はドキドキしながら見ていた。

大がかりなセットを作った過去の大作映画は、セットと解っていても迫力を感じさせてくれた。「よく作ったねえー」と、感心させることができたら、もう映画の成功は疑いない。俳優の演技の前に、技術屋の力でヒットしてたような印象がある。もちろん、マックイーンなどの活躍も必要だったが。

必ずだらしない生活で問題を抱えた人物が登場していた。物語の部分をリアルにするためだろう。思いがけない人物が活躍していた。デブのシェリー・ウィンタースおばさんが主役を救出し、そして死んでいくなんて、観て泣かなければ人間じゃない。

皆が役割をこなせば、この種の作品はきっと成功する。我々はワナにはまるかのごとく、感動する。この作品は、何かそのような役割設定に問題があったのかも知れない。

 

 

« アルフィー(2004)  | トップページ | ノウイング(2009) »

無料ブログはココログ