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2010年4月30日

パイレーツ・ロック(2009)

- 平和的 -

放送の自由がなかった60年代のイギリス。海賊放送局からは放送禁止用語スレスレの際どいトークと流行の音楽を武器に、人気のディスクジョッキー達が活躍していた。しかし、政府は面白く思っていない。ついに摘発に乗り出した・・・

この映画は「ラヴ・アクチュアリー」のスタッフが作っているから、なんとなく雰囲気が似ている。どことなく素人くさい作風が、かえって好感を得る効果を出しているような気もする。いい映画だったと観た後で思った。何より、企画が素晴らしい。最初から成功は疑いないような設定である。

この作品は、一応は家族で観れると思う。ただし、タバコ、酒はもちろん、麻薬をも賛美していると取られかねない面もあり、子供には教育上良くないかも。大人が見る分には、どぎついシーンもないし、大人しすぎるくらいのギャグしかないので、退屈する人もいるかもしれないが、大半は軽い作風に好感を持つのでは?

主人公とは言いがたいが、青年がストーリーの中心になっていたのは効果的だった。もう少し万人に好感を持たれるような役者を連れてきたら、素晴らしい青春映画になっていたかも知れない。個性的なディスクジョッキー達と、成長途中の若者のやり取りは、きっと観客の心をうつ物語が期待できたが、この作品では「心を打つ」までにはいたっていなかったと思う。作風が軽かった。それが良かったのか悪かったのかは解らない。

青春映画にしたいなら、若者が怒って誰かと殴り合いをするくらいは必要だった。女を取り合ってなんて設定だ。ところが、この映画では殴り合いが発生していない。

ディスクジョッキー達の間のもめごとでもそうだ。マストに登る競争が決闘代わりだった。おかしいが、映画の魅力につながるかどうか?極めて平和的なスピリットを持つスタッフ(確かホモセクシャルのスタッフが何人かいたはずだ)の性格が反映されたのかも。

信じられないが、BBCラジオは数分しかポピュラー音楽を流さない時代があったんだそうだ。当時はビートルズやストーンズなどが大人気だったはずなのに、格差社会、階級社会のイギリスは社会的な受け入れが随分違っていたのだろう。日本では考えられない。

この映画の中ではストーンズの曲が最も効果的だった、もしくはロックの精神を端的に表現していたような気がした。甘いメロディや、人類愛などをテーマにするよりも、不満などを直接訴えたほうが映画のBGMには適していた。ビートルズの曲では合わない。

今なら放送禁止用語には「ピー」音で対応できるが、当時は生放送がほとんどだったのか、そんな手段は使えなかったのだろう。

フィリップ・シーモア・ホフマンは「あの頃ペニー・レインと」でもロックのディスクジョッキー役を演じていた。似たような体型のジャック・ブラックは、表情が派手で好対照なキャラクターだが、やはりロックがらみの役を演じることが多い。今回の役も、喜劇映画なんだからジャック・ブラックでよかったような気がしないでもない。映画の作風に合わなかったのか?

今の時代を考えて、もうちょっとドギツイ演出をすべきだったかもしれないと感じた。

 

 

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