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2010年4月14日

サブウェイ123 激突(2009)

- 逃げてほしかった -

主演 デンゼル・ワシントン ジョン・トラボルタ

ニューヨークの地下鉄の一車両がジャックされ、管制官の主人公は犯人側と頭脳戦を展開する。犯人達はニューヨーク市に乗客の身代金を要求する。市は金を用意し、受け渡し人に指名された主人公は地下道に向かう・・・

・・・サブウェイ・パニックは良くできた映画と評判だったが、とうとう全編を観ることができないまま。部分的には鑑賞したが、当直の合間だったのでラストしか記憶になく、途中が解らない。でも、犯人と鉄道局側の行き詰る交渉の緊張感がある良い作品であることは感じることができた。今回の作品も、緊迫感は感じられた。なかなか良い作品だったと思う。

小さい子供には刺激が強すぎると思う。家族で観る作品ではない。恋人と観るのは悪くない。たぶん、「結構面白かったね。」と感じる人が多いのでは?

悪役のトラボルタの表情が良かった。ニヤニヤしながら冗舌に話したかと思うと冷酷な犯行を繰り返す怖さ、過去に証券マンとして羽振りが良かったらしいと言う設定、それらの条件にちゃんと添うように演技をできている。ともすれば作りすぎてシラケやすい目立つ役柄を、適切なレベルで異常、冷静沈着、人間らしい感情も持つように、上手く表現できていた。

日本だと同じような役は誰ができるだろうか?ビートたけしはキャラクターが近いかも知れないが、人なつこい表情は難しい。阿部寛は、ちょっとオチャラケの雰囲気も漂い、迫力が不足する。ヤクザ映画に出てくる俳優では、単なる悪役に終わってしまいやすい。なかなか得難いキャラクターだ。

デンゼル・ワシントンの演じ方も良かった。上司との関係や、警察に対して見せる表情は自然だった。汚職疑惑がかかっているという設定も素晴らしい。子供に、まっすぐ走るように伝えろというセリフも非常に良かった。場違いなセリフが、いかに子供を気にしているかを悟らせる常套手段。

心理ゲームの盛り上がりはあったので、結構リアルな演出だったと思う。

しかし、この作品は傑作とは言いがたい印象。せっかくの設定が無駄になっている点も多い。この作品をリメイクしようとした時に、いったいどんな企画だから成功しますよ!と売り込んだのだろうか?その意図がつかめない。

普通、鉄道をジャックしても逃げるのは難しいはずなんで、「犯人達はどうやって脱出するつもりだ?」という謎がまず浮かぶはず。犯人を追い詰めたぞと警察が喜んだ後、その盲点をついて逃げるところが絶対に面白いはずだが、ネタが簡単に明かされてしまい、感心することができない。当然、前作とは全く違った逃げ方をしてくれる必要もあったが・・・

犯人像が早々と解るのもいただけない。間違って誰かを怪しむ、「お前が黒幕だ!お前らの狙いはこれだ!」と思ったらワナで、警察が失敗を繰り返すというのが話を面白くすると思う。

最近ヒットした映画の特徴は、どんでん返しが繰り返されることだ。犯人と警察側とで勝敗が行ったり来たり、どちらが勝つか解らなくなると映画が面白く感じられる。その面での面白さを自ら捨てている点が惜しい。

犯人が株価を気にしている点もまずい。何かの価格の変動を使って儲けを謀っているんだな、身代金は目的ではないんだろうと早くに解ってしまう、一種のネタばれ的な展開である。これは明らかにまずい。何か情報を気にしているが、何を見ているんだろう?何を気にしているんだろう?、観客が見れないでじれったいというふうにしたほうが絶対にいい。

主人公が絶体絶命の窮地に立たされるほうが盛り上がる。警察からも同僚からも疑われ、場合によっては暴力的に拘束までされる。犯人しか彼に同情してくれない、なんて設定も良い。

市長のキャラクターも良くなかった。トンマで強欲で、保身のことしか頭にないような人物のほうが主人公のやるせなさを訴えるのに良い。犯人像に自ら気づく設定は全く必要がない。明らかにおかしい。

トラボルタがもし死ぬとしたら、銃よりも飛び降りや爆発のほうが派手ではないか?金をばら撒き、橋の上を大混乱に陥れて、あわや逃がれれるか?というところで失敗する、ってのも良いかも。逃げたと思った途端、ミスで爆死してしまう、なんてのはどうか?

もしくは結局逃げられてしまうという設定はどうか?

 

 

 

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