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2010年4月 2日

ヘル・ボーイ(2004)

- 肉食系ヒーローの完成形? -

化け物達の物語。かってナチの実験の際に地獄から地上にやってきた悪魔の子ヘル・ボーイは科学者によって育てられた。秘密の基地で他の怪物達といっしょに生活しているが、時々は息抜きのため外界に抜け出して問題を起こしていた。ナチの残党らは、彼を利用して魔界のトビラを開こうと画策する。どうやら彼は魔界の鍵とも言うべき存在らしいのだ・・・

・・・よくもまあ、こんな化け物のキャラクターを考えついたもんだと感心する。半魚人のクールなキャラクター、自分の能力について精神的に迷う女など、存在感ある登場人物達に感心する。おそらく原作の漫画家のアイディアか?敵の鎧男(写真左端)も素晴らしかった。

Photo

主人公の風体や、性格も面白い。アメリカ流のタフネスの理想形ではないか?おとなしく頑張る優等生タイプは嫌われるのだ。不良、偏屈者、かわいらしいような子供っぽさ、ワイルドで適当だが勇敢。そんなヒーローが好きらしい。確かに迫力満点だった。

アメコミのヒーローはそんな感じだ。スーパーマンは例外的に優等生だったが、他は皆クセがある。どうもクセに慣れない。古代ゲルマン時代の勇者的な野蛮さ、凶暴さを感じるからか?体力はなくても良いから、スマートでスピーディーなヒーローも欲しい。バケモノぶりで勝負するスタイルは好きになれない。

日本のヒーローもアトム的な優等生ばかりではない。多少性格に問題のある仮面ライダーや、内向的なヒーロー達も結構多かった。単純なヒーローばかりでは確かに面白くない。でも、ヘルボーイはちょっとあんまりではないか?「こいつ絶対くさいに違いない」と、体臭が気になりそうなヒーローである。日本のヒーローは、たぶん臭くはない。そこが違う。食べ物の違いか?

主人公のヒーローはかなり屈折した人物だったが、非常に魅力を感じた。格闘の仕方も力任せでスマートでなく、頭は子供のレベルのままだったが、ちょうどヤンチャな子供を見るときのように好感を持った。アクションシーンの活躍も悪くなかった。

あちらのヒーローは銃器を持っていることが多い。日本のヒーローは剣を持っていて、銃器を撥ね返すのが理想だが、あちらは素手の敵を倒すのに銃器を使うことを全く厭わない。敵に同情しているようでは敵を滅ぼせない。インカ帝国もインディアンも滅ぼせない。

精神的にタフというあちらの概念は、情け容赦ない、だますのは普通、武器は強力なほうが良い、敵が素手でも気にしない、そんな傾向を有する。敵を可哀そうと思うのは、タフなヒーローには似つかわしくないのか?

可哀想と感じる際の人間の脳は、おそらく辺縁系などからの刺激が独特のパターンで活性化され、理性的思考とは違った反応を起こしていると思われる。かわいらしい動物、美しい自然、愛する異性などが自分の手で壊されたという事実を認識すると、「マズイことをして反省する」「同情する」「彼らを愛していたい=自分も愛されたい」などの欲求を感じ、それを得るために思考、情動のパターンが出来上がるのではないか?

そのへんの情動の形成が違うようだ。かわいい動物=食べようか? 美しい自然=美しくても腹は膨れない 愛する異性=他にもイイのはいるさ ってな考え方は確かに間違いではない。自分が移動していく狩猟民族の場合は、この考え方のほうが実情に合っているかもしれない。

その完成形が、今回のヒーローかもしれない。

この作品は家族で観れる。でも非常に変わった性格を持つ作品で、特にオススメとは思わない。恋人といっしょに見るのも同様。

 

 

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