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2010年3月18日

ウォッチメン(2009)

- 中途半端 -

かっての冷戦時代、アメリカを守ったのはスーパーヒーロー達だった。しかし、今は法律で活動を禁止されてしまい、市井に紛れたり、こっそり研究所で生活している。そんなある日、仲間のひとりコメディアンが殺害される。犯人を探るロールシャッハなどの個性的メンバーらは、自分達も襲われる危険を感じながら捜査を続ける・・・

・・・個性的すぎるキャラクターのオンパレード。まともなヒーローはナイトオウルというマント姿の人物だけか?他はおかしいくらいに個性的で、悪役に近いくらいの異常者ぞろい。あれがアメリカンヒーローの典型なんだろうか?とことん暴れ者か、もしくは暗い過去を背負って乱暴を働きながら正義の味方もついでにするってな感覚。そういえばアメリカ軍も、そんな部分があるようで凄く野蛮な行為が目立つ。

この映画も血にまみれたシーンが多かった。子供には絶対良くない影響がありそうだ。恋人と観ると怖い。横で恋人がニコニコしながらこの映画を観ていたら、逃げ出したほうがいい。別れ話を持ち出そうものなら、きっと血を見る。

BGMの選択には新しいようで古典的な感覚を感じた。ネーナの99なんかを、あのシーンで使うのは斬新だと思う。でも全編が斬新でないと、途中だけ浮いた感覚になる。イメージの統一は難しい。

ロールシャッハというキャラクターは素晴らしかった。小柄な役者が演じていたが、実に気味が悪く、存在感が抜群だった。彼がヒーローで良かったはずだ。時々苦しい立場になりながら、最後には真実を暴くが、友人を失う・・・というストーリーが最も望ましかったと思う。二枚目のヒーローは必要なかった。

ドクター・マンハッタンには参った。あんなのが活動したら、確かにベトナム戦争も勝利したかも。ベトコンも戦う気を失うだろう。しかし何のためらいもなく「ベトナムでも勝利した。」と語るストーリーには、やはり違和感を感じざるを得ない。

たぶんアメリカ人にとってベトナム戦争は今も悪夢のままで、決定的な武器でもあったら、迷いなく使ってでも勝ちたかった、なんなら核兵器を使うべきじゃなかったか?なんて考えが結構はばを効かせているのでは?どんな手段を使って、かわいそうな現地の人がどれだけ殺されても、勝たなきゃいけなかったと感じている人が多いような気がする。

ニクソン大統領やキッシンジャー補佐官が登場していたが、漫画チックな表情、図柄だった。どうやら原作の漫画の構図をそのまま再現することに努めたらしい。確かに絵になる視点、配置で撮影されていた。でも、劇的すぎる場面が続くと落ち着かない。やはり漫画と映画とではメリハリの利かせ方が違うと思う。映画用の作り方をすべきだった。

ストーリーが面白くなかった。隠れた悪役がいたはずだったが、中途半端に終わってしまったので、ラストの爽快感が損なわれた。また主役はこれ、ヒーローはこれという単純な作り方をしていないので、頭を使わずにただ楽しむということも難しい。カッコいい格闘シーンもあり、そのレベルは高かったのだが、最近流行りのスロー~ストップモーションを多用した表現ではなかったので、感動するほど迫力があったとは言えない。中途半端だった。

ロールシャッハの独白でストーリーを進めるなら、最初からそうすべきだった。途中から始まり、途中で終わるのは珍しい。

ヒロインは健闘シーンでは見事だったが、少しヒロインとしては不向きな印象を受けた。徹底的に色っぽいか、徹底的に強いか、冷酷か、弱々しいか、超美形か、いずれかの特徴があったほうが観客には解りやすいと思う。

アメコミ原作の映画で面白かったのはスパーダーマンとアイアンマン。それと最近のバットマン。いずれもよく考えて作ってあった。この作品は、あそこまで構想を練れていないのでは?

 

 

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