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2010年3月24日

消されたヘッドライン(2009)

- なかなかの出来栄え -

新聞記者が主人公。友人の議員に疑惑が起こる。女性スタッフと不倫関係にあったらしい。議員と奥さんは激しいスキャンダルに参ってしまう。しかし、別な殺人事件を探っていた主人公は、不倫疑惑と殺人事件の意外な接点に気がつく。思いがけない大きな陰謀が隠されていることを証明すべく、主人公達は活動するが、身の危険が迫ってきた・・・

・・・まずベン・アフレックの演技に好感を持った。微妙な表情しか解らないのだが、何かを隠してる人物の感情の変化を特に難しくないように演じていたのではないかと思う。主演のラッセル・クロウは迫力さえあれば良いと思うが、この議員の役割は大事だった。ある程度よい男でないと愛人を作ることが不自然になるし、正義感に燃えていることや、苦しい立場などを巧く表現できていた。

もうひとり、新米の女性記者を演じたレイチェル・マクアダムスも重要だった。こちらも真摯な態度で仕事に打ち込んでいることが非常に解りやすかった。日本の加藤ローサとよく似た清潔感ある表情だった。でも問題を感じた。それは作品のテーマやコンセプトによるもので、彼女の演技力の問題ではないのだが。

作品の主題は巨大企業が倫理に反する行為をやることへの告発であって欲しい。その場合は主人公は苦しみ、ひどい立場になりながらも最後には勝利することが望ましい。同僚である女性記者は、主人公に協力しながら、時には裏切り、反発することが望ましい。場合によっては死ぬことも効果的だ。

自分の野心、純粋な仕事への態度、そのようなものは必要であり、巨悪に対して弱いことも必要だった。しかし、この女性記者の立場がどれくらいの重要かによって、作品のヒットの具合が変わってくる。もし重要に扱い、例えば主人公とロマンスでも芽生えるような関係だったら、もっとスターでなければならなかった。例えばスカーレット・ヨハンソンのような女優である。それなら作品はもっとヒットする。

今回のマクアダムスは巧く演じていたし適役だったが、好感を持たれても大ヒットにはつながらないキャストだったと思う。演技力より、キャラクターが大事ではなかったか?もっと色気がある女優で、ラブシーンくらいは見せて欲しいと個人的に感じた。

作品自体もテーマを絞るべきだったと思う。巨悪が汚い手段で主人公を窮地に追いやろうと画策することや、敵の親玉などが登場して、解りやすい対立の構図が浮かぶほうが良かった。複雑にストーリーを組んだことで、かえって戦いがぼやけてしまったかもしれない。

演出は巧みで、緊張感を維持できた。この種のサスペンスは嘘くさくて過剰な演出が気になることが多いが、この作品の場合は適切な感じだった。展開の切り替わりの速さが的確な感じがした。なかなかの出来栄えだと思う。

陳腐な趣向だが、もっと主人公が苦しみ、人間的弱みを見せるべきではなかったか?そうするとメロドラマ風になってしまう危険性も高いが、ヒットにはつながる。それにタイトルも文学的なセンスが感じられたほうがいいと思う。原作はイギリスのテレビ番組だったそうだが、そこではどのように描かれていたのか興味を持った。

 

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