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2010年2月20日

扉をたたく人(2007)

- 手際、センスが素晴らしい -

やる気を失って惰性で生きている大学教授が主人公。彼は久しぶりに訪れたニューヨークの自宅で、詐欺にあっているとは知らずに住む若いカップルと出会う。シリアとセネガル出身の若者達は主人公と仲良くなり、共に打楽器を演奏し、語り合う。しかし、若者が逮捕され収容施設に送られてしまう。主人公は彼を解放させるべく、手を尽くすがはかどらない。そして心配した彼の母親が尋ねてくる・・・

・・・問題提起をしているのだが、その仕方が穏やかで、攻撃めいた口調でないのに好感を持てる。「告発する!」ってな感じがない。でも心にしみるような感動を感じる。このへんの手際、センスが素晴らしい。

「ツボヤキ日記」で紹介されていたので期待していたが、やっとビデオが並んだのでみることができた。でもAVクラブの棚の位置は解りにくかった。おそらくほとんどの客の目には留まらないだろう。ドンパチやる映画でないと、観客の興味、店の興味は得にくい。せめて有名な役者が主役だったら、だいぶ違った売り出し方になっていたかもしれないのに。

明るく野心的、積極的、そして若く魅力あるアラブ系の若者、真摯な生き方をしていることが解るアフリカ系の娘、彼らの姿が非常に清々しく、この作品の魅力になっていた。ヤクザな移民では話にならない。

9.11以降のアメリカ社会が大変な変化を遂げたことが解った。実際には海外に行っていないので知らないのだが、検閲が厳しくなったことはよく聞く。それ以外でも、アラブ系の住民に対する偏見、お互いが疑心暗鬼になっている悪循環は想像できる。映画のように厳しく国外退去の処分をされる住民も多いかもしれない。そうしないとテロリストを野放しにしたと批判されるからだ。

テロリスト達の侵入は巧妙らしい。どう見たって旅行者にしか見えない人物が、しっかり住民になりすまし、組織と連絡を取ってテロ行為におよんでくるの。それを防ぐことは難しい。現在でも新しいテロが計画進行中に違いない。不法滞在者は、基本的には退去してもらうほうが安全だ。

でも夢を持ってアメリカにやってきた若者達は、故郷に帰れば迫害や経済的困難が待っていることも疑いない。夢を奪われた人達はアメリカを恨むに違いない。何といってもアメリカは依然として世界一豊かな国なんだから。

主演のリチャ-ド・ジェンキンスはショボくれた初老の人物を演じているが、役柄に見事にはまっている。演出もちゃんと目的をとらえていた。いかにしょぼくれ、いかに孤独であるか、彼の顔のアップが彼の控えめな性格を現している。心情の変化もわかりやすい。大変な好演だった。でも映画を売るためには、主役はスターが望ましかったかも。「グラン・トリノ」は随分と扱いが違ってた。だから同じリチャードでも、仮にリチャード・ギアなんかが演じていたら、評判になっていたかも。

日本に移民を受け入れるかどうか、これも大きな問題だ。一般的には受け入れ反対の人が多い。特に最近は景気が悪化しているので、移民など考えられない、職場の確保すら難しいという時代だ。ちょっと前までは、介護の現場に人が足りないからフィリピンなどから看護婦を入れようという動きが大々的に報道されていた。今もかなりの人が日本に来ていると思う。

島国根性が根強い国なんで、ちょっと離し方や顔つきが違っただけで排斥しかねないところに、何を考えているか解らない人種が大挙してやってきたら、絶対に係わり合いになりたくないと思うだろう。慣れの問題とは思う。今の状況だと、やがては中国系会社が日本の経済を支配する日も近いだろう。当然、上司は中国人で、中国語を話さないと職場がないということも考えられる。住宅地の中で一等地は中国人ばかり、昔から住んでる老夫婦の家の周りは中国語が飛び交う。そんな時に嫌悪感を感じるだろう。

私は毎日中華料理を食べても文句ないし、周りが中国人だろうと台湾人だろうと良い人であれば文句はないが、今の時点で金持ちの中国人は、半分ギャングでルール無用の人も多そうなので怖い。日本の人口政策が続く限り人間は減っていくので、移民がないと国力を維持できないはずだが、混乱や反発も必至。これはアメリカも同様のジレンマだ。

 

 

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