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2010年2月22日

ゼロの焦点(1961)

- 名探偵、久我美子? -

新婚早々の夫が行方不明になる。残された妻は夫の行方を追って金沢に向かう。しかし驚いたことに夫は別人の名前で死んでおり、しかも夫の捜索にやってきた夫の兄まで死体で発見される。事件に隠された不可解な謎は??・・・

・・・ヒロスエの主演で作品がリメイクされたらしいので興味を持って鑑賞。何度かテレビのドラマでは見たような気がするが、映画版を観たのは初めて。ヒロスエ版は観たいとは思わない。

久我美子 有馬稲子ともに30歳位のときに出演している。有馬稲子が若い頃のブロマイド的な写真を見ると都会的な美人のように感じたが、この作品ではメーキャップして田舎の女を演出していたようだ。久我美子は例えるなら広末涼子の母親くらいの貫禄があるが、この作品では本当の年齢相応の役を演じていることになる。

地味な女性にメーキャップしていたようだ。行き遅れのタバコ屋の娘という地味な雰囲気がよく出ていた。公家の出身者には見えない。

監督は野村芳太郎。「砂の器」の画面よりも暗いので見辛かった。古い映画ではあるから当時のフィルムの性能のためかもしれない。

1960年まで掲載された原作の小説が、翌年には映画化されているので清張作品は凄い人気だったと想像される。これも原作を読んでいないので、どこがどう違うのか知らないが、映画用にかなり脚色されているらしい。

作品の根底にある「パンパン」の存在は、当時では大きなものがあったと思う。本当に「今はすましてしているけど、あいつは昔、パンパンだったんだぜ。」なんて陰口をたたかれる人も多かったに違いない。食べていくためには仕方ないわよという時代だったはずだ。

今なら立派な国際結婚と言われるし、離婚しないかぎりイエローキャブと言われないで済む。過去を隠す女性は少ないだろう。同じバツイチでも外人との離婚は何かハクが違うような気さえする。意外に魅力のかけらもない女性が外人と離婚したと聞くことがあるが、あちらの人は視覚認識の仕方が違うのだろう。

パンパンという言葉の語源ははっきりしないそうだ。何となく上手く表現できてる単語だとは思う。パンパン自身や、それを見る人間の感情もだいたい想像がつく。昔は過去を消したいと願う女も多かったはずだ。でも、今リメイクしても受けるのだろうか?若い観客が感覚的に解るかどうか?

そしてこの作品への最大の疑問は、主人公が名探偵ぶりを発揮するのはおかしくないか?

協力して調べてくれる刑事がいないと普通は調査はできない。だからラストで犯行を説明するシーンには無理を感じた。老刑事を登場させるほうが自然であろう。久我美子は学習院の学生だったらしいから、理路整然と推理をしてもおかしくはないが、万が一間違っていたらとんでもない失礼、訴訟沙汰も覚悟しないといけないから、普通は刑事さんに任せるべきだ。それに証拠がないのに犯人がベラベラしゃべるのは、まさにテレビドラマのスタイルである。

「フッフッフ、明智君見事な推理だった。」のパターンで、安易なパターンだ。実際には確たる証拠を突きつけられてもシラを切るのが普通だ。最後まで知らぬ存ぜぬ、秘書がやったことと言い張る政治家のような姿のほうが自然だった。

その後に犯人があせって正体を現すってなストーリーもひとつのパターンだ。

「証拠はあるのか?」

「そう、証拠はない。でも調べれば、あなたの過去が明らかになるわよ。」

「フン、個人情報保護法違反よ!やれるもんならやってみなさい。なめんじゃないわよ、アタシ昔はパンパンだったのよ!あれ・・しゃべっちゃった。」ってのはギャグ。

 

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