映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« エリン・ブロコビッチ(2000) | トップページ | トランスフォーマー・リベンジ(2009) »

2010年1月25日

容疑者Xの献身(2008)

- 悩み苦しむ姿の表現は難しい -

ガリレオこと、湯川教授は物理学の先生だが、頭脳明晰で犯罪の捜査にも度々助言を求められる存在。刑事の内海からもたらされた新しい謎は、ある殺人事件。男が殺され、顔を焼かれていたが、身元はすぐ判明。その男、富樫はかっての妻を脅迫していたらしいが、妻にはアリバイがあった・・・

・・・なかなか面白い作品。原作が良かったからか。

導入部分が素晴らしい。途中も適度に可笑しいシーンもあり、人物達の悩みや感情が巧く説明されていて、よく整理された感じ。

福山雅治は昔のトレンディドラマで見てから演技力に疑いを持っていたので、今回も期待しないで観たのだが、この作品ではなかなか素晴らしい味があった。通常、犯人を執拗に追跡し、冷徹な推理であぶりだす人物は、例えば阿部寛のような強烈な目をした役者が望ましいと思う。でも、飄々とした学者が主人公なら、福山は非常に合っていると思う。

坂本竜馬には合わないような気がするが。

刑事役の北村一輝には感心した。大河ドラマの武将役では、あまりに表情のない、何を言いたいのか解らない単純な人物像に思えたが、この作品では存在感があった。独特な目つきは、脇役として使いやすい個性だと思う。悪役には最適だが、今回のような助演も素晴らしい。

共演の堤真一にも感心する。昔は純な青年役が多かったためか、オーバーすぎる演技に不快感を覚えていたが、徐々に年齢が上がってくると父親役や、出世に失敗した感のある男の哀愁みたいなものを巧く演じているような気がする。まだ若いので今回は多少作りすぎの感じもしたが、今後さらに巧さに磨きがかかってくるはず。

この堤の役どころが、今回の作品の焦点なので、彼の存在感が自然に出ていれば成功だと言える。成功だったと思う。

でも多少理解できない部分はあった。犯罪を始めて犯す人間は、通常はドギマギして傍から見ても精神的に動揺しているか、もしくは動揺を隠そうとして無理をしてることが多いはず。テレビドラマの犯人達が堂々としていることには常に違和感を感じる。この作品の堤も、実に堂々としていた。

弱みがある人間は強気にでることが多い。刑事に囲まれたヤク中の酒井法子も、随分強きだったらしい。本当に存在感を出したければ、要らぬところで悩んだり突っかかったり、変に自分の行為を正当化しようとして無理な理屈を捏ね回すシーンがあっても良かったのでは?

最後に彼の考えが説明されていたが、観客の心情に訴えて共感を得るまでには至っていないのでは? だから、心に残る名作とまでは言えないと思う。狂気を説明するのは簡単なことではない・・・

 

« エリン・ブロコビッチ(2000) | トップページ | トランスフォーマー・リベンジ(2009) »