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2010年1月22日

エリン・ブロコビッチ(2000)

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離婚歴2回、子連れで職なしの惨めな主人公は、法律事務所に強引な手段で就職する。ある日、彼女は一軒の家の売買契約書に目を留める。不審に思って調査を始めたところ、住民の健康被害に工場の廃液が関係していることに気がつく。職場の同僚からの白い目や、脅迫に会いながらも、色気とやる気を武器に、彼女は調査を進めていく・・・

・・・痛快な作品。良くできていた。主人公のジュリア・ロバーツが33歳のころ公開されているが、若々しく色気もある。強気でけんか腰のセリフもサマになっている。主演女優賞を取った当たり役だった。

この作品は子供も大人も楽しむことが出来ると思う。恋人といっしょに見るのも悪くない。

スタイル抜群の彼女が、露出たっぷりの衣装で演じていたが、実際のエリン女史もモデルのように背の高い女性で、美人かどうかは解らないが、スタイルは良さそうだった。実際にも色気を使って調査したのだろうか?

気になるのは、あちらの国で勝利、成功というと、莫大な金銭を得ることが、かなりのウェイトを占めているらしいということだ。勝ち取った金額が大きいと、自分の命が厳しいと解っていても非常に嬉しそうにしていた。あれは理解できない。

トム・クルーズ主演の「エージェント」で、共演のフットボール選手が自分の活躍を褒められても泣かなかったのに、今度の契約金が凄い金額だよと提示された途端に泣き出すシーンがあった。私なら、試合での活躍のほうが嬉しい。金銭へのこだわり方が違うんだろう。

あさましい物を見るような感覚で観てしまったが、私のほうがおかしいのかも知れない。金のために命をかける人は多いのだから。妙に高尚なものに影響されて、金銭的な成功を軽んじるのは良くない。 だから自分は今でも貧乏なんだ!

DVDの付録には、本物のエリンと弁護士さんが出演して解説してくれていた。弁護士を演じていたアルバート・フィーニーは、いつも良い味を出している。どこか妖しげで、でも人間的にまっとうな感じが漂う不思議な役者だ。

アーロン・エッカートも共演しているが、確かな味を出している。悪役も好人物もこなす確かな存在感、演技力を感じる。でも主演としては扱いにくいキャラクターのような気もする。ショーン・ビーンと少しかぶるキャラクターではないか?

私がエリン・ブロコビッチだったら、本を書いたり映画に出演したりはしたくない。巨大企業を相手に戦った人物なら、やはり思いもよらぬ手段で圧力をうけることは覚悟しないといけないからだ。

日本だったら、親兄弟、同僚、上司などが寄ってたかって訴訟を中止するように圧力をかけてくるだろう。波風を立てること自体を怖れるからだ。警察、町、県、国、裁判官、検察、恩師、妻、夫、恋人、子供、親戚、皆が敵に回る。正しいかどうかなどは関係ない。そんな閉鎖的な村社会では、エリンの成功はありえない。

「原因がはっきりしないじゃないか。」「専門家にまかせるべきだ。」「町の企業を潰すつもりか!」「町の世論を二分して対立をあおるのか!」「オレの仕事場を奪うな!」「所詮、金目当てでしょうが」「友人のお願いとして聞いてくれ」言われ方はなんとでもある。

エリンが復讐を受けたら、当然ながら犯人は負けた企業が疑われるが、彼女が他の訴訟を経た後なら犯人を特定するのも難しくなるかもしれない。戦々恐々として生活するのは嫌だ。いかに巨額の賠償金を得たとしても、恐怖を抱きながら生きたくはない。

金持ち、激しい手段で訴訟を起こす人物という評価を得てしまうと、人間関係も難しくなる。あんまりやっかいになりたくない人物と思われてしまうかも。だから彼女はアメリカだからこそ活躍できたんだと思う。日本では、特に田舎ではダメだ。民主主義もアイディアも通用しないから。

パテント・トロールという種類の法律家集団がいるという報道を聞いたことがある。眠っている特許を調べ上げて、それを利用している企業を訴えて和解金をせしめる集団らしいが、企業側から見ればエリン・ブロコビッチはトロールのような存在だろう。

何もない静かな街に激しい争いを巻き起こして、街の企業を壊滅状態にし、街の経済をも破壊してしまいかねない怖ろしい人物とも言える。もちろん、有害物質の管理を怠った企業は潰されても仕方ないとは思うが、映画のように義憤に燃えてだけで仕事したかどうかは解らないので、あくまで映画の中の人物として引いて見ないといけないかも。

でも、映画は非常に良くできていた。娯楽作品として、うまくまとまっていた。主人公に拍手を贈りたくなるような活躍ぶりだった。

 

 

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