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2009年12月24日

素晴らしき哉、人生!(1946)

- 不幸さがリアル -

監督 フランク・キャプラ 主演 ジェームズ・スチュワート

主人公には夢がある。田舎町を出て世界旅行をし、大きな仕事をしようと計画していた。しかし、偶然が重なって家業の不動産業をつぐことになる。すったもんだあったが、幼なじみと結婚する。

町は事業家ポッターが支配していた。主人公は貧しい人々に家を提供するために奔走し、ポッターとは宿敵の仲。敵は主人公の懐柔、もしくは邪魔を仕掛けてくる。どうやら事業が順調に行ってると思った時、資金を紛失していることに気がつく。このまま行けば会社は倒産、自分は刑務所。主人公は絶望する・・・

・・・クリスマスが近づいてきたので鑑賞。名作として必ず挙げられるような作品だが、全体を見たのは初めて。エディ・マーフィーの「デーブは宇宙船」に登場していたので見たくなったのだ。アメリカ人なら絶対見ている作品と言えるかも。タイトルからして古めかしい。

現在、この作品は著作権が切れているらしい。個人でこの作品をアップロードしている人もいるようだ。下の写真は、そこから。月のプレゼントの話は「ブルース・オールマイティ」でパロディにされていた。

Photo

非常に意欲的な印象を受ける。SFと家族のドラマが混在したひねりすぎた展開で、アメリカ人が好む単純明快な展開ではないから興行的にはまずいのではと思ってたら、実際に興収は低かったらしい。おそらく、敵のポッターが逮捕されないと観客はすっきりしない。

作品が有名になったのは、その後映画好きの連中が手本にしたり、毎年クリスマス時期の定番になったからだろうが、おかげで我々はドラマで似たような話を繰り返しみるはめになってしまったようだ。でも、基本的には無理した展開だと思う。

古いのだが、家族や恋人といっしょに観るにいまだ耐えうる作品である。

この作品の年代を考証してみた。

主人公は、おそらく1895-1905年頃に生まれたと思われる。結婚は大恐慌の1929年、高校かカレッジを卒業した後に4年間は働いていて、弟の卒業パーティーで妻になる女性と再会していること、再開後に彼女はカレッジ?に行ってるようなので、1925-1927年頃に出会ったことになるだろうか?

少年時代にアルバイト先の店で出会う少女は、おそらく妻になる女性だと思うが、年齢差があったのかなかったのか、詳細に関しては不明。

作品がアメリカで公開されたのは1946年で、主人公が天使によって救われるのは1945年の冬と思われる。長男は映画のラストでは10-12歳くらいに見えたので、1929-1934年は余裕がなくて子供を作れなかったのかもしれない。

恐慌の時代には、不動産業は流行らないと思う。ローンを返せない客も多くて、彼の会社の経営も好調なはずはない。ところが、敵役の富豪達がうらやむほど事業が拡大していたようだから、珍しい例なのかも知れない。またはニューディール政策の一環で、建設に対して資金的な援助があったのかもしれない。

監督は移民で、主人公と同年代。苦労して大学を出ているそうなので、思い入れは相当あったはず。そのために、作品の展開に懲りすぎたのかもしれない。物語がほとんど同時代に設定されていることも、恐慌を経験した世代に受け入れられることを考えていたのかも。

リバティ・ピクチャーズのトレードマークのワシの絵は珍しい。今この会社の作品を見ないところをみると、どこかに吸収されてしまったようだ。それで著作権も売られたのか?

ジェームズ・スチュワートが素晴らしい。特に人のよさそうな普段の姿から、急展開で破滅が見えてきた時のあせった表情が良かった。他の作品でも困った状況には繰り返しはまっていたが、この作品ほどリアルな困り方はなかった。好人物が豹変するだけに、とても印象的。

脇役も印象的。色気を振りまく女友達や、悪役の話しっぷりなどがおかしいほど。

Donnna

奥さん役のドナ・リードが非常に美しい。「地上より永遠に(上の写真)」の人物とは別人のようだ。生き方が良妻賢母そのもので、出来すぎた感じも受けるが、この作品に限って言えば適切な演技だったと思う。彼らの演技は苦難に陥った人を勇気づけてくれる。マヤカシだと批判してはいけない。

自分も開業当初は不安に押しつぶされそうだったが、本当に資金難に陥った経験がある人は、この映画の主人公と同じような激しい豹変をするのではないか。

同時代の作品は、健康的な主人公に嘘くささを感じるが、この作品の主人公は結構リアルな不幸を経験し、ほとんど苦労ばっかりしている点で存在感がある。今の不況で困っている人にも勧めたいくらいだ。素晴らしきかな、この映画!

 

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