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2009年11月28日

GOEMON(2008)

- ゲームより古典的芸術を -

監督 紀里谷和明

戦国時代の末期、盗賊である石川五右衛門は盗んだ金を庶民にばら撒き、絶大な人気を誇っていた。ある日、彼が盗んだ物に明智光秀の小箱があったことから騒動が起こる。石田光成の配下の霧隠才蔵を中心とした忍者軍団に追いかけられ、徳川家康の陰謀に加担して秀吉を襲い、さらには関が原の合戦に出撃して石田光成と対決するに至る、というとんでもないストーリー。

この作品の製作を追ったドキュメンタリー風の宣伝番組を見ていて興味があったので、公開のときに見に行こうと思っていたら、すぐ上映中止になっていた。あんまり人気は出なかったようだ。監督達の意気込みは観客には伝わらなかったようだ。

監督は熊本県が誇る紀里谷和明で、随所に才能の片鱗を覗かせている。キャシャーンの時と同じような暗く、テンポの速い映像は付いていくのが大変なくらいの速さ、迫力だった。個人的には、もっと画面を明るくしてくれたほうが見やすい。暗闇の中での戦いのシーンだけは今のような色彩でもいいと思うが、普段はケバケバしさを抑えたほうが効果があると思う。スピードを抑えて、実際に人が飛ぶときの早さを再現したら、もっと迫力がでるはず。

古代の神話を描いたハリウッド作品は、独特のフィルターを使ったスペクタクル風色彩というのがあった。皆同じような撮りかただったようだ。あれを再現すると、懐かしいので受けると思う。今回の色彩は、観客にはおどろおどろしいとは写っても、魅力的とは感じられないのでは?古典に帰るべし。

役者達の衣装にはこだわったようだ。現実には考えにくい、史実とは異なる西洋風の衣装、甲冑、建造物などは海外で受けることを想定して作っているようだが、自分としてはあえてグローバルな路線を目指す意味があるとは思えない。明らかな効果がないなら、普通の格好でいいのでは?

スピード感は素晴らしい。でも、この作風は明らかにゲームのそれだ。おそらくクリエイターたちは兼業でゲームも作っているはず。ゲームの臭いを消すことが、作品の価値を高めるためには絶対に必要だ。これはCG製作スタッフ達のセンスに問題があった。むしそ完全に芸術の領域に回帰すべきだった。いにしえの美術の再現、オモムキの世界の表現のほうが、国内外ともに評価されやすいと思う。

劇場版のスターウォーズシリーズのCGは美しさを損なわないように、かなり芸術的感性のある作り方をしていた。ゲームは派手さやスピード感が重要なので、質が違う。ゲームにも金は必要だが、金を払って一回鑑賞するに値するものは、それなりのレベルが要求される。この作品はゲームの雰囲気が微妙に悪さをしていると思う。

テーマは一般的で、役者達の演技は素晴らしいレベルにあったと思う。音響、カメラワークなどは、プロモーションビデオで鍛えた監督、スタッフならではの技。平幹二郎や中村橋之助の迫力をここまで出せた作品はなかったと思う。でも、大沢たかおのキャスティングは理解できない。サイドストーリー的な部分に多くの役者が登場しているのも、やりすぎ、焦点がぼやけるなどの悪い効果を感じる。チョイ役はエキストラでも良いのでは?

冒険映画としての企画はアイディアあふれ、素晴らしいものだった。次回作では大バケしてくる可能性はある。実家のパチンコ業は凄い収入があるはずだが、貯め込むのはもったいない。損はするかも知れないが、もともとあぶく銭、映画につぎ込んで素晴らしいものを作って欲しい。

 

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