映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« 七つの贈り物(2009) | トップページ | ベティ・サイズモア(2000) »

2009年11月 4日

初恋のきた道(1999)

- 感動は・・・ -

監督 チャン・イーモウ 主演 チャン・ツィー

「私」は久しぶりに故郷の村に帰ってくる。父親が急死したからだ。ところが問題が発生。母親は町の病院から父親の遺体を故郷まで担いで帰ると主張する。遠い距離を担いで帰るのは昔からの風習だが、若者が少なくなった村では非現実的すぎる。なんとか母親を諦めさせようと説得する「私」だったが、母親と父親には出会った頃の強烈な思いがあった・・・・

・・・原題は「私の両親」というような意味らしい。それでいいのではないか?「父と母の物語」でもいいような気がする。チャン・ツィーは昔の日本にもいたような素朴な美少女という印象。今の彼女は、ちょっと顔立ちに合わない役が多いような気がする。

一種のおとぎ話。今の日本では難しい話。かっての「伊豆の踊り子」「潮騒」などの文芸作品のような内容なので、山口百恵を最後に死に絶えた路線であろうか?今の日本の製作者達が吹き出してコケにしそうな純愛物語。でも、今でも少女漫画などのあらすじは似たようなものじゃないだろうか?

農村の持っていた安心感、包容力のようなものを感じることができた。話の筋よりも、映画に魅力を持たせるのは、そのような雰囲気であろう。中国も都会に若者が流れて、地方の村は壊滅的な状況にあるのかもしれない。物語は文革などの路線対立の時代に巻き込まれた不幸をちょっと匂わせているようだが、あんまり大きくは取り上げられなかったようだ。

感動は出来なかった。美しい風景や、田舎の雰囲気は堪能できたが、主演の演技はいわゆるブリッコタイプで、自然とは言えないような気がする。やはり中国の演劇学科の舞台向きの演技ではなかったか?せっかくなので中国では受けないかも知れないが、リアルな演技が欲しかった。

憧れや好意、熱情の表現方法が直接的すぎたように思ったが、日本映画のように間接的過ぎるのも良くない。本心を隠すシーンがあると映像的には盛り上がるのだが、主人公は小学生か中学生のような行動パターンなので、観客が心情を想像する部分は少ない。そもそも、知っている中国人を見る限り、概して表現が直接的で激しい傾向はあるようだ。その意味ではリアルだったのかも。

おとぎ話なら少女のように純真にいじらしい行動を取っても好感を持てる。美しい風景と相まって、なかなか良い雰囲気の作品だった。家族で観るといいかもしれない。子供達は退屈するかもしれないが、思春期の少女などは共感する部分も多いはず。シラケルる子は徹底的にシラケるかも知れないが。

現在の映像が白黒。過去の思い出がカラー。これは珍しい構成で、狙いがあってやったはずだが、効果的だったのか疑問。通常なら現在がカラー、過去がセピア色になるはずだが、反対だ。過去の美しい農村での夢物語を強調したいならカラーが望ましく、過疎に悩むうらびれた村が現実なら白黒でもいい。そんな狙いか?全部カラーで、フィルターなどで処理したほうが自然ではないか?

ラストで小学校に生徒を集めて授業するのは、やりすぎではないか?いかにも中国のテレビドラマ的な展開だった。もし、そうするなら村の人達の心配りであることが解るようなカメラワークや解説があったほうが良かったと思う。微妙にセンスが違う。

間の取り方や編集は普通の中国のドラマとは違って、ちゃんとドラマ風にそつなく仕立ててあった。世界共通のテンポで映像が展開する感じで好感を持った。「ワイルド・スワン」のように、男女が混乱で迫害を受ける物語なら、もっと映画的だったような気がするが、そんな展開の作品を中国で作るのは難しい。

 

 

« 七つの贈り物(2009) | トップページ | ベティ・サイズモア(2000) »