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2009年10月14日

マーリー・世界一おバカな犬が教えてくれたこと(2008)

- 教えていただきました -

報道記者を志望する主人公と、同じく物書きの妻は結婚し、そして格安犬のマーリーも飼い始める。ところが、この犬は学習能力に欠けたバカ犬だった。家のソファーを食い散らかし、カミナリを怖がって泣き叫ぶ。夫婦は犬に振り回されるが、それと同時に、人生も順調とは言い難い。流産や仕事上の壁も経験する。子育てにも疲れ果てる。いっそ、こんなバカ犬は捨ててしまおうか?・・・

・・・この作品は素晴らしかった。傑作というにはテーマが一般的すぎて、大きな感動を狙う類の作品ではないので、そもそも狙いが違うような気がするが、相当によくできた作品。「プラダを着た悪魔」の監督が、同映画のスタッフと手がけた作品であるから、そういえば似たような作品だった。

物書きの臭いがする。主人公が物書きで、原作者をイメージさせる人物。多分に自身の体験もストーリーに関係しているのではないか?大仰なテーマではなく、ごく一般的な人生論というか、ほのぼの路線を狙った感じ。

主人公の妻が結婚前に自分の人生プランを考えていたのに、結局どうでも良くなるという話が自然であった。こんな人は多いだろう。私はプランらしいもののなく、ほとんど人生に絶望し、やけくそで生きてきたが、女性の中には「誰それと結婚し、こんな家に住み、海外旅行を・・・」などと夢見ている人も多いはずだ。

たいていの女性は、子育てに手一杯になって海外旅行の夢など先送りにならざるを得ないのだが、ついつい「こんなはずではなかった。別の人生があったはずなのに・・・」などとグチをこぼして夫を困らせることになるのだろう。私の家内も私のせいで海外旅行にいけないのだと嘆く。海外には行かないが、よく海岸に連れて行ってるのに・・・

・・・ちなみに、家内にはこんなジョークは通用しない。

主演のオーウェン・ウィルソンは素晴らしかった。演出のせいか、演技らしいオーバーな表現を控えていたように思う。昇進など、通常喜ぶべき事柄に対して表情を大げさにしないところが、この作品では効果的だった。今までの彼はちょっとオーバーな感じか、場違いな印象を受けることが多かったが、役柄にはまっていた。キャスティングが成功していた。

あちらの人間は身振り手振りが激しく、大げさに上司に媚び、喜びを表現する人が多いが、そんな人ばかりではない。静かに話す人もいる。主人公の人物像は、傍から見ればぼんやりしているかのように写るのが自然だ。

40歳を過ぎると、体の動きが遅くなってくるのを主人公が体感していたが、衰えを自覚するのは嬉しいことではない。話には聞いていたが、自分が衰えるのは情けないような、諦めのような感情が混ざって、独特のものだ。その表現もやっていたようだ。

感謝の念も感じる。それなりの人生にしてくれた家族や友人達、先輩たちには感謝している。自分はペットを飼ってはいないが、飼っていれば溺愛していただろうし、きっと主人公と同じように感謝していただろう。どんなバカな犬でも。奥さんにでも感謝できる私だから、きっと犬には感謝する。

人生は思いのままにはならないものだ。それなりに努力し、あがき、もがきながらより良い方向に向かうように努めたい。たいして金儲けもできなかったが、食べていけているので文句はない。感謝したい。テロリストや強盗集団に襲われることも、とりあえず心配しなくて良い。幸せなことだ。満足とは言えないが、それなりに幸福を感じている。

でも、私だって海外旅行を諦めたわけではない。足腰が立つうちに行きたいものだ。家ももういちど建てたい。病院も建ててみたい。・・・結構いろんな夢はある。金がないだけだ。

 

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