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2009年10月16日

イルカの日(1974)

- 娯楽性と健全さと誇り -

監督 マイク・ニコルズ

イルカの知能を研究している博士が主人公。博士の研究所は、ある財団から資金を得ていたが、研究内容は財団にも秘密にしていた。博士はイルカを教育し、人間の言語を理解させることに成功していた。しかし、ある記者が秘密を探りに来る。研究内容が明らかになれば研究所が荒らされると心配した博士は、ついに財団に研究成果を公表する。しかし、財団は不可解な動きに出る・・・

・・・美しい音楽が印象的な作品。懐かしい映画だが、今観ると水の中の映像は美しいものの、さすがに映像が古めかしくなりつつある。70年代の雰囲気も感じる。

この作品は、いちおう家族で観ることも可能だが、プールで浮かんでいる死体が出てくるシーンはあるので、子供には向かないかも。恋人といっしょに観る映画としては悪くないと思う。根底の精神が健全だし、音楽やイルカの声などの効果が良くて、観た後に「良いものを観た」という満足感が得られるからだ。多少は古いので、どこか幼稚な作品という感じを受ける人もいるかもしれない。

なんといっても監督が「卒業」のマイク・ニコルズだから、なんとなく自由、告発の精神、勇気、愛情、娯楽性、芸術性が高いレベルで渾然一体となった印象がある。映画の本筋はサスペンスなのだが、博士のイルカに対する愛情が感じられ、単なる娯楽映画のレベルを超えている。

イルカの声も印象的。音楽の中にもイルカの声が挿入されていたような気がするが、そのために悲しいような曲調がさらに悲しく感じられる。

重点の置き方も良かった。企画として、これ以上はないほどのレベルを感じる。当時の映画人の意気込みや、誇り、時代背景を考えてしまう。この映画はウォーターゲート事件がまだ決着していない時期に製作されていたはずだし、ベトナム戦争に対する国内世論の混乱は必ず影響している。単純に正しいことをしたいと願う健全な精神が感じられる。

いくつか幼稚な点というか、疑問に感じる部分がある。

研究所に潜入した敵の工作員は、研究成果を財団に報告していなかったのか?ほとんど筒抜けになっていないとおかしいような気がする。犯罪者達のキャラクターが解ったほうが恐怖が強まったかもしれない。イルカを強奪した後、のんびり研究所のそばの海に船を浮かべて停泊したままでは不自然だ。当然博士側はイルカの奪還を図るかもしれないし、警察にでも連絡されたら終わりだ。犯罪者側の船に爆弾を装着することは、いくら何でも不自然ではないか?

敵対する勢力は、まさにウォーターゲート的な暗躍である。ニクソンもそうだったが、イラン・コントラ事件のレーガンやブッシュ親子にも似たような仕事が色々あったようだ。クリントン氏の場合はちょっと色気があったが、民主党の大統領にも似たような暗躍の伝統はあるのだろう。真面目で善良なだけでは政治職はやれないのか?

勤務医時代は、政治家の入院を担当させられていた。医者をバカにした態度を取る人物がいて、それを感じながら対面するのが辛かった。理解できないのは、私に対して見下した態度をとっても何の利益もないはずなのに、彼らは何を考えていたのだろうか?

患者を救うことに熱中しているだけの医者は、彼らから見れば甘い人道主義者にすぎない。それを感じて大きな態度をとっていたのか?権力を握れば桁違いの大きな利益を得ることもできるし、人や金を大きく動かせるだけでも欲を満たせる。医者は、病気になった時以外は使い捨てカイロくらいの価値しかない。

邪気がない私を、頭の足りない新米と思ったのか?思ったとしても、その印象を顔に出すようでは彼らの資質も知れてしまう。心の内を悟られるようでは大物とは思えないし、敬意くらいは互いに払うべきだ。彼らは彼らの使命を果たせば良いし、私は患者のことを考える。それ以外のことに注意が行くようでは、要するに親分といっても子供のケンカのようなレベルで生きていることが想像される。

「誇りだけではメシは喰えないのよ。」という考え方なのか?

 

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