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2009年9月18日

追憶(1974)

- 奇跡的な成功 -

監督 シドニー・ポラック 

主演 バーブラ・ストライサンド ロバート・レッドフォード

政治的な活動にのめりこむ女学生と、学園のスターでノンポリのハンサムボーイの物語。対照的な学生だった二人は反発しながらも互いを意識していた。第二次大戦中に二人は偶然再会し恋人になるが、多少のいさかいを繰り返しながら、やがて結婚する。ハリウッドに渡った彼らは映画脚本業で一応の成功を収めるが、赤狩りの時代が訪れ、立場が苦しくなる。脚本業にも問題を抱え、二人の関係は悪化し・・・

私の世代にとっては懐かしい映画。本当に映画らしい映画。今の若い人が見たら、ヒロインの顔でショックを受けるかも知れないが、耐えられれば魅力的に写るかも。子供には向かない映画。

主演のバーブラ・ストライサンドの容姿には驚いた。美しい歌を歌う歌手で大スターとなれば、きっと女神のような美人だろうと思って写真を見たらびっくり、きつい表情にもびっくり。彼女とロバート・レッドフォードが恋に落ちるなんて、アメリカの人は不自然に思わないのだろうかと気にした。やはりアメリカは進んでいる。容姿よりも才能に注目するんだ、日本はその点遅れているなあなどと自虐的に納得したことも覚えてる。

歩き方はバレエの素養が感じられる。スタイルが美しい。舞台で映える女優だ。鼻はすごい迫力があるが・・・

とにかく偉大なる才能の持ち主であることは疑いない。しばらくは暗殺予告があった関係で自宅にこもっていたらしいが、時々活動しているらしい。この作品はディレクターズ・カットのDVDで観たのだが、解説にも登場していた。映画の当時(31歳)の頬のふっくらした感じがなくなって、普通のおばさんになっていた。

主演ふたりはミスキャストのような気がする。ノンポリ学生役なら、当時はライアン・オニールで決まりだったはず。レッドフォードは政治的なイメージがあった。本来の役柄よりも真面目で、スマートな人物に演出したと監督が述べていたが、その関係でレッドフォードの存在感が上がったことが作品のレベルを上げたと思うが、それがなかったら駄作で終わっただろう。彼が単純なハンサムボーイだったら、主演二人のバランスが壊れる。

主演女優は、やはりもっと美人のほうがしっくりくる。ラブ・ストーリーなんだから、やはり見栄えは必要だ。当時ならジェーン・フォンダ女史などもいたはずだ。おそらく作り手の人種の関係もあって、構想がそもそもストライサンドありきで主演女優は最初から決まっていたのだろう。ストライサンドは若々しくて魅力的だが、やはり限界がある。もし可憐な少女のような女優が演じていたら、感情移入できる観客は増えたのでは?

音楽が素晴らしい。しかも素晴らしいのに全編で流れているわけではない。出し惜しみのような程度にしていることで、かえって良い効果をもたらしている。当時ラジオで聞いた私は、ぜひこの曲のレコードを欲しいと思った。作曲者は見栄えのしない青年だったらしいが、「奇跡的な傑作」と言っていた。確かにそうだ。音楽のおかげで、映画の記憶が強く残る。

いくつか削除されたシーンの中に、解説としては抜群に判りやすいものがった。でも検討の末に、それらを整理したらしい。曖昧な部分を残したほうが、観客には受けるのだろう。

雰囲気はフィッツジェラルドの小説のような感じ。当時でも懐かしい時代を扱った関係か、今でも色あせない。赤狩りが題材になっているが、正面から断罪してはいない。もともと何度も口論し、喧嘩をしていたカップルが別れるきっかけになった程度だ。それが自然であることが、作品のレベルを上げている。

真正面から悲劇を扱わないで悲しさをかもし出すというのは難しいことだが、たぶん監督の力量なんだろう。ミスキャストでも、奇跡的な演出で心に残る作品になっている印象。

 

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