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2009年7月12日

ハッピー・フライト(2003)

- 売りは何? -

主演 グゥイネス・パルトロウ

田舎町で育った主人公は、念願の外の世界に恋人といっしょに出る予定だったが、突然フラレてしまう。目標を失った彼女だったが、偶然興味を持った本に触発され、フライトアシスタントを目指すことにする。入った会社はローカルの航空会社で、制服はスケベが喜びそうなもの。でも彼女はチャンスを待って国際線に進出しようと考えていた・・・

・・・原題はトップに立っての眺めといった意味だった。彼女は結局国際線のスチュワーデスになることに成功するが、そこで得たものは意外にむなしく、求めるものは他にあったという、どこかで観たような結論であろうか。同名の日本映画が最近あったが、リメイクではないようだ。

チョイ役でロブ・ロウやケリー・ブレストンが出演していた。マイク・マイヤーズが変な教官役を演じていたが、あんまり彼の存在意義は解らなかった。映画の趣向、狙いが今ひとつ解りにくい。グィネス・パルトロウの成長や感動を中心に描くための映画なのか、もしくは完全なる彼女のショー的な作品なのか、どちらの視点で観客が待っているべきかが最後まで分からなかった。

爆笑のドタバタコメディを狙うなら、スチュワーデス仲間との競争を描かない手はない。激しいライバル意識によって自分こそ国際線に行きたいと互いの足を引っ張ったりする様はおかしいはずだ。だが、この映画では一人だけが悪さをしていただけで、おかしくはなかった。

ドタバタなら、マイク・マイヤーズにはもっと活躍してもらっていい。教習所の場面を中心としたストーリーで、パルトロウの下着シーン、水着シーンを繰り返し写さないといけない。ダンスもがんがんやるべきであるが、なぜかプロモーションビデオ風に撮影はされていたものの、本編では割愛されていた。もったいない話である。

おかしさや美しさ、お色気や恋愛など、色んな要素を盛り込むのはいいことだが、うまく整理できたかどうかが後味に響いてくる。この作品で満足する人は多いだろうか?

パルトロウのキャラクターは、かっての大女優達のようなおしゃれな雰囲気である。水着でダンスするキャラではない。おしとやかなドレスに身を包んでパリの街角を散歩して初めて意味がある。もし、この作品のままで主役を選ぶなら、彼女よりも三枚目の女優を選ぶべきではなかったかと思う。もし彼女のままでやるならば、ファッション雑誌さながらに色んな衣装でパーティーやカフェを歩かせるべきだった。

ハイソな男性と付き合って、「何か自分の求めていたものと違う」と認識するような真面目な路線のほうが、彼女には合っていたのではないか? 美しい恋愛映画ができたかも知れない。

または努力して登りつめたのに、思わぬ誤解で立場を失い、傷ついてしまう不幸な物語なら彼女への同情を得ることが期待できるのに・・・

ラストでもハッピーエンドのおまけが付いていたが、意味合いとしては結局上昇志向以外の面の掘り下げというか、恋愛の重要度はせいぜい仕事に疲れたときに思い出すから寄りを戻すくらいの価値しか認めないという結論とも取れるので、私には好感を持てなかった。

大事なパートナーを優先に考えるなら、子供達といっしょに赤いセーターを着ているシーンのほうが幸せそうではないか?私の個人的な趣味とも言えるので、やはりキャリア志向の女性にはあのラストシーンがいいのかもしれないが。

キャラクターとは外れるかもしれないが、ミニスカート姿を全編にさらして、お色気全開の爆笑物語にする手もあった。彼女としても可能性を拡げる意味で、もともとのキャラクターにこだわらない役柄をやりたかったのではないか?

キャンディス・バーゲンは懐かしい。彼女は知的女優として独特の存在だった。特に女性達からの支持には固定客を持っているかのような安定したものがあって、「尊敬されるべき先輩役」にはうってつけの感がある。この作品でも。ちょっとオーバーで出すぎの感じはあったが、立派に存在感を示していた。

 

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