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2009年7月10日

ワイルド・レンジ(2003)

Photo

- 懐かしいスタイル -  

監督 ケヴィン・コスナー

西部のある町のそばを通るカウボーイの一団があった。彼らが食糧補給のために立ち寄った町は、大牧場主と保安官がつるんで支配していた。牛を横取りしようとした牧場主一派に襲撃され仲間の一人を殺された主人公達は、牧場主の一味を相手に戦いを挑む。味方は二人、敵は十数人・・・・

・・・ザ・オープン・レインジ・メンというのが原作のタイトルらしい。意味はよく分からないが、決闘の場に並んだ姿を言っているのか? 

西部劇の原作と言われても読んだことがないので、どんな描き方なのか想像がつかない。例えば、広大な平原をカウボーイたちが牛を追って移動していく様を、どうやって言葉で表現するんだろうか?映画では美しい光景を簡単に写せるが、言葉では難しい。

とにかく、どうやってか映画化されることになったらしいが、昔の懐かしい雰囲気を保った快作に仕上がっている。アメリカでは相当なヒットをしたらしいが、解る気がする。懐かしい雰囲気を観客は欲していたのだ。

成功の理由のひとつは、懐かしい雰囲気を壊さないために、女性に関してストイックなヒーロー像を保ったことだろう。ヘンリー・フォンダのキャラクターを再現しただけと言えばそうだが、それを観客は欲していたのだ。

もうひとつは映像の美しさだ。どこで撮影したのか知らないが、草原の中を牛を追って移動していく姿は、アメリカの原点とも言えるような美しい光景だった。あれだけで満足する観客もいるだろう。

さらに、ケヴィン・コスナ-が目立ちすぎていないことも良かった。前半ではロバート・デュバルのほうに光が当たるように計算されていたようだ。「誰かに指図されながら生きるのは御免だ。」といったセリフも、大事な部分はほとんどデュバルが述べていた。近年、ケヴィン・コスナーの映画がヒットしなかった理由のひとつは、バランスを欠いていたことだろう。コスナーのアップの画面が多すぎた。

アネット・ベニングがまた素晴らしい。いかにもたくましく生きているような眼の強さ、あんまり若くないのが解る顔のシワ、結構頑丈そうな体格。どれもが役柄にぴったりだった。

銃撃シーンのリアルさが特筆すべき特徴でもあった。かっこよくない主人公が活躍する作品は近年では珍しくないが、この作品ではなかなか弾が当たらないだの、当たっても一発で勝負が決まらないだの、ほとんど本当のガンファイトとかわらないほどのリアルさがあった。住民がリンチするシーンも、いかにもありそう。

権利を主張するデュバルの言葉。力でことを解決しようとする人達の考え方。会話するセリフが的確だったので、それらの精神の成り立ち、人物の存在感が抜群だった。ただし悪役には、もうちょっとセリフを与えて、彼らの言い分を聞かせるべきだったかもしれない。

この作品は特に賞をとってはいないかもしれないが、私はアカデミー賞にも相当すると思う。「許されざるもの」よりも雰囲気が良い、西部劇らしい西部劇だと思う。家族で観ることも可能な作品だ。銃撃シーンでは顔をしかめるご婦人もいるかもしれないが、アメリカでなら普通のワイルドさだ。

しかし、恋人といっしょに見る作品としては、見た後にいったいどんな会話になるのか分からないので、いいのか悪いのか分からない。明らかに色気には欠けている。そして、銃撃戦を前に女の家でのんびりお茶を飲んだりするのは、やや拍子抜けの展開だった。緊迫感を保ったまま恋愛感情が盛り上がるように描くのは至難の技だ。

ふと思ったが、土足で、しかも泥まみれのずぶぬれの主人公達は、まずもって風呂に入ってないようだったが、アネット嬢は鼻が曲がるほどの臭さに耐えていたのか?忍耐力も素晴らしいご婦人らしい。もしくは副鼻腔炎で鼻が利かないのか?

 

 

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