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2009年7月14日

スパルタカス(1960)

- 気合を感じる - 

スパルタカス~スパルタクス(カーク・ダグラス)はローマ時代の奴隷であったが、剣闘士にさせられた。彼は同じく奴隷のジーン・シモンズに恋心を抱いていたが、それをネタにいびられる。ある日、彼女がローマに売られると聞き、スパルタカスは暴れだす。それをきっかけに、奴隷たちの反乱が起こる。

彼は奴隷を組織し軍隊として訓練し、各地の奴隷を吸収して一大勢力になる。ジーン・シモンズも彼の元にやってくる。皆で船に乗って国外脱出する手筈だったが、邪魔が入る。ついにローマ軍がやって来て決戦となる・・・

1960年の作品。当時の超大作だろう。主演はカーク・ダグラスだが、彼はプロデュースもやっている。さすがに気合が入った感じがする。監督がスタンリー・キューブリックというのも驚くが、彼はまだ新人のはずなんで、独自色は出せていない。普通の史劇である。脇役も一流が揃っている。

剣闘の戦いぶりがおかしい。迫力がなく、ハラハラさせるところがない。これは、今のゲームなどに慣れてしまっているからだろうか?カメラが引き過ぎているだけかもしれない。今のゲームは凄い。刀から光線みたいなのやら、爆発みたいな煙やら、わけのわからないものが出てくる。しかも実写に近いような細かい映像が、自分の意のままに動かせる。これでは勉強しないでゲームばかりやりたがるのも無理はない。

ゲームを観た後に、この映画の戦いを観るとがっかりするが、この作品のウリは剣闘士の戦いのスペクタクルではないようだ。結構なドラマがあった。特に主人公が奴隷としてひどい目に遭うシーンが良く描かれていた。

おそらくローマ軍との決戦が大スペクタクルになると考えて作られたのだろう。確かにエキストラの数も相当だし、史実に忠実に再現しようとしたようで迫力はあるが、当時の剣での戦いには血が飛び散ったり、首が転がるような迫真の技術はなかったので、結局は戦いの真似事だなあと解ってしまう。

最近の技術では刀から血が出る仕組みがあるそうで、刀で切ったところから血が吹き出るし、精巧な手足が転がるので、現実の戦闘とかわらないような気持ちの悪い戦いが展開される。ロード・オブ・ザ・リングの戦闘シーンはリアルだった。この十年で、随分進歩した。

実際の奴隷がどうだったかは解らないが、確かに剣闘士達が逃げられないように、かなりの束縛はあったはずだ。いっぽうで、自分の意志で剣闘士になった自由人もいたらしい。そのへんの感覚が解らない。

そんな場合は、たぶん金に困ってのことだろうが、昔の場合は警察制度も連絡制度も不完全なので、逃げて夜盗なぞになって生きのびようと考えるなら可能ではなかったかとも思える。剣闘士として一生逃げられないなら、いっそのこと反乱を起こそうと考えるのが普通だが、反乱は多くはなかったようだ。よほど警備がしっかりしていたか、もしくは自由を得ることが期待できたからからではないか?

カーク・ダグラスの演技が格別に良かったかどうかは解らないが、結構なタフネスであることが解るし、いかにも古代にいそうな野蛮な感じがするので、自分でも適役だと思っていたかも知れない。でも、ビクター・マチュアやチャールトン・ヘストンほどの迫力はないような気がする。脇役の名優たちは、史実の人物とはだいぶ違うキャラクターで、ドラマの盛り上げに徹しているようだ。

クラッススはどんな人物だったのか解らないが、一般には3頭政治をやったポンペイウス、カエサルと比べて人気がなかったらしい。実際にもスパルタカス達を磔にしたらしいが、反乱の鎮圧には手間取って、大軍を集めてやっとこさ勝ったようである。映画では結構真面目な政治家となっている。

登場人物の脚色をどうするかが大事だったと思うが、政治家同士の駆け引きがスパルタクスの反乱に影響している様子は解って、結構上手くできた脚本だったのかも知れない。政治家の思惑ひとつで、こちらの懸命な努力が水の泡となるストーリーは、主人公を哀れにする。そんな効果はあった。

面白いかどうかは解らないが、ハリウッドの古典として、家族で見ることもできる作品だと思う。恋人と見てもいいようには思うが、さすがに古すぎて、興味を持ってくれる相手がいるかどうかは解らない。だから、あんまり人に勧められる映画ではないかも。

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