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2009年6月 6日

地球が静止する日(2008)

- 演技は良し -

監督スニット・デリクソン、主演キアヌ・リーブス ジェニファー・コネリー

地球外からやってきた球体が世界各地に出現。中からキアヌ・リーブス君が出てくる。彼の目的は何か?科学者ジェニファー・コネリーは緊急に政府から招集される。彼女はキアヌ君を助けたために彼と行動を共にすることになるが、怖ろしいものが待っていた・・・

静かな映画だった。その関係で、観客の期待を裏切ってしまったのかもしれない。興行的には今ひとつだったようで、市内の映画館でもすぐ次の作品に代わってしまった。私が監督なら、もっと大げさな騒ぎを次々と起こし、皆がやたら不安になるシーンを増やして、観客がスリルを感じられるようにすると思う。安易な方法だが、残酷な場面も増やすべきだったかも。

役者達の演技は悪くなかった。企画に問題があったようだ。

悪役が欲しかった。たぶん軍人の誰かで、やみくもに宇宙人を攻撃すること、主人公達を執拗に暴力的に追跡すること、最後には宇宙人の反撃であっけなくぶざまにやられること、といった役割を演じる人物が必要だった。

星新一のショートショートに、こんなストーリーはあったようだ。

宇宙の目が登場して、テレパシーで「地球を救うために、望むことをしてあげる。」と尋ねてくるが、尋ねた相手には人間ばかりではなく動物も含まれていたので、動物達の一致した意見で人類を抹殺してしまうという話だった。漫画にもなっていた。

CGの映像は美しかったが、恐ろしさには欠けていたように感じた。いっそ気分が悪くなるほどの怖さで人を殺していく映像だったら、作品の印象度は変わっていたのではないか?苦しんで、のたうち回って骸骨になっていく姿が人類の最後にふさわしい。子供が見れなくても構わない。どうせこのままでも子供は見ないだろう。

主役のキャラクターにも問題があった。悲しさをたたえた目で人類に止めをさす人物なら、もっと別な演技があったと思う。冷酷さを狙うんだったら、もっと別な役者で、見るからに冷酷極まりない、恐い感じを出せばよかった。キアヌ・リーブスのキャラクターから考えると、悲しさを強調したほうが良かったはず。彼が泣けば、きっと映画の印象度はかわっていたのに。

弱々しいキャラクターでも良かったかもしれない。人類にまぎれこんだエージェントたちを回って、「人類の評価はどう?殺すべきかな?」と聞いて回るなんかは面白い。例えば収容所に登場したキアヌ君が虐げられた人達に聞くと、「俺は肌の色で差別された。」「俺は宗教のせいで殺されそうになった。」などと報告すれば、より人類の問題点をまとめる効果もあるのでは?

主人公であるキアヌが終始無表情なのは、この映画のストーリーのうえでは仕方がないのだろうが、考えてみれば無表情の主人公に感情移入できるためには、よほどの演出が必要であろう。主人公は悩み、悲しみ、戦うからこそ共感を得ることができるのだ。その基本を忘れてはならない。

知られすぎたストーリーなので、なんとか観客を驚かせる工夫が必要だったはず。意外性、圧倒的な恐さ、美しさ、悲しさ、なんでもいいが、ひと工夫が必要だった。

 

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