映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主


Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« サイレントフルート(1977) | トップページ | コニー&カーラ(2004) »

2009年6月20日

クライマーズ・ハイ(2008)

- 臨場感ある -

日航機墜落事件を中心として、新聞社編集部の現場における内部の対立、苦闘する社員の姿、それぞれの思惑などを描いた作品。本当の記者だった原作者による同名本の映画化。

なかなか見ごたえのある作品。おそらく映画監督の手腕よりも、原作のよさが決め手になっているのではないかと思うが、映画の臨場感も素晴らしい。特に事故の一報が新聞社に入った後、現場が緊張してザワザワと皆がそれぞれの仕事に向かい、てんで勝手に怒鳴ったりして「ハイ」な状態になった時の描写がいい。

新聞記者に限らず、仕事に燃えている時の職場は一種の興奮状態に陥るので、冷静な意見が通らない。警察、消防、スポーツの試合、救急外来などは、常にそんな状況にあると思う。

事件がらみの時に会う警察はひどかった。我々からすると、あの横暴な態度はなんだ!と怒りたくなるが、彼らにしてみれば事件を片付けるのに集中してハイになっている時に変に冷静な意見をはかれると、邪魔としか思えない。私だって、患者さんが生きるか死ぬかの時に、「書類の訂正印お願いします。」などと言われたら、「出直してこい!」と怒鳴りたくなる。

映画の主題の切り取り方が問題。

現場の中での葛藤を中心にするなら、観ていて疲れる作品になるだろうが、私はそんなストーリーのほうが好きだ。友人役の高島の件などはカットしてもいいと思うくらいだ。

現場内の葛藤、嫉妬、ライバル意識、協力、そして家族の犠牲、子供との和解などに絞って作ると良かったのでは?ごたごたになってる間に他の会社に出し抜かれていく失敗を記録しても面白い。社長の人格については、主題とはあんまり関係ない。

冷静な判断は必要だ。ハイになって自分の意見を押し通そうとして、かえって会社をおかしくする連中は多い。旧日本軍の中枢部もそうだったのでは?

現場からの連絡に民家の電話が頼りなんて、あの当時でもありえない。他社と勝負にならない。墜落現場に向かうのに白いシャツ姿なんて本当か?現場でキャンプする格好の山岳部チームを決めておけば、どんな地域でも半日で行ける。

劇中に消防隊員が言っていたが、危機管理能力さえあれば、夜中に出発して現場に早く到達し、もっと多くの人を救うこともできたはずだ。判断力のない警察、消防の上層部によって死んだ人もいたと思う。でも、きっとその時、その場の上層部はハイになっていて、冷静な判断はできないのだ。

「今出発したら、準備不足で隊員が遭難するかもしれないじゃないか!(そしたら自分の責任だ)。」「場所を間違って捜索したら、無駄足になる。」「政府と相談してやらないと、後で責任を問われる。」理由はつければつけられる。英断を期待するのは難しい。

いっぽう、事故原因に関する記事に、ちょっとでも憶測が入ったら大混乱を生む。これはスクープを狙うべき対象ではない。通常、事故原因は特定できないが意見を集約して報告するという形になる。確定は難しい。そんなことにスクープを狙うのは危険だ。

あのような事件の時に、主人公が自宅に帰っているのは気になった。1-2ヶ月は会社に泊まりこむものだと思っていた。もちろん病院に見舞いなどにも行けない。そう思っていたが、意外に記者という仕事の忙しさにはムラがあって、暇な時間も多いのかもしれない。

 

 

« サイレントフルート(1977) | トップページ | コニー&カーラ(2004) »

無料ブログはココログ