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2009年6月24日

戦争と平和(1956)

- 結構芸術的 -  

若い娘オードーリー・ヘップバーンはロシアの貴族の娘である。彼女の憧れは漠然としているが、夢と愛があふれる生活である。仲の良い友人にヘンリー・フォンダがいる。よき相談相手、仲の良いおじさんといった感覚か?憧れてはいたが、恋愛関係に至る前にセクシーなアニタ・エクバーグにフォンダが誘惑され、かっさらわれてしまう。

しかし、エクバーグはフォンダよりも彼の財産と都会の生活が大事。ひとりで都会に残って愛人と仲良くしている。フォンダは結婚を後悔する。オードリーのほうは旧知の大佐メル・ファーラーと婚約するが、プレイボーイの誘惑にあっさり参って駆け落ちを計画し、婚約解消。

そんな時にナポレオンが遠征してくる。もともとフランス革命に共感していたフォンダは戦場を見学して、悲慘さに愕然となる。怒りを覚えた彼はパルチザンとなってナポレオンの暗殺を企てるが・・・

・・・「戦争と平和」は有名な小説なので、高校時代に読んだことがある。でも超のつくほどの大作で、2日くらい徹夜になった。大作過ぎてあらすじが判らなくなって、読んでも読後の感動はそれほどでもなかった記憶がある。

私はどちらかといえばドストエフスキーの小説のほうが好みである。何が違うのかよく分からないが、作者はより反体制派で、より単純で劇的な感じがする。

原作をいっきに読むのは良くない。体にも負担がかかるし、他のことがおろそかになって浪人や留年をしなければならなくなる。私の浪人も、トルストイ達のせいだ!と八つ当たりしたい。せめて数日に分けて、時間を決めて読めるように「一日目はここまで。これ以上読んではだめ。」と記載してくれるべきだ。

時間のことを言えば、映画のほうが早い。いろいろはしょってあるから、エッセンスだけを観て、小説を読んだような気持ちになれる。でも、この映画は小説を表現できていたのだろうか?

ピエール役のヘンリー・フォンダは、いつもの彼の役柄とは全然違って文学かぶれの青年のような、タフでない役柄だった。でも痩せて体力がなさそうに見えるので、結構こちらが本来の姿に近いのかも知れない。メガネをかけた目で何かを見上げる表情は、悩めるキャラクターを上手く表現していたと思う。

彼の演技を意外なほど上手く感じたのは、おそらく彼の意見がかなり重視されたからではないか?悩める青年を上手く描くことは非常に難しいはずなのに、この作品では実に自然に描いている。彼に大きなウェイトを当てるように、監督たちに圧力をかけたのではないか?

そのかいあって、この作品は解りやすく結構レベルが高い。他の大河ドラマの大作は、過度に芸術に走ってわけがわからなくなるか、スケールだけ大きくて漠然とした感じになることが多いのに、この作品はまとまりを感じる。主役の二人に上手くスポットが当たる印象がある。

オードリー・ヘップバーンが主役を演じたのは、当時の彼女が大スターだったし、「ローマの休日」の王女的なイメージが若い頃の主人公のキャラクターにぴったりだと思われたからだろう。でも彼女の実像はレジスタンスに参加するなど、その後の主人公の運命に近いものもあったそうだ。そんな意味からも彼女はこの役が欲しかったのではないかと想像する。

清純なままでは終わらなかった役だが、彼女の場合は何だかドロドロした肉欲のイメージを感じさせないで終われるところが、やはり彼女ならでは。もしかすると、彼女はフォンダと結構激しいメイン争いをやったのではないか?なんとなくそんな気がする。

彼女のウェイトをもっと上げていたら、この作品はもっとヒットしたかも知れないが、まとまりはなくなってメロドラマになっていただろう。これくらいバランスが良かったと私は思う。

さて、この作品、家族に見せたものか?

私は子供にもいいんじゃないかと思う。おバカな不倫の場面も見せておいたほうが、将来妙な駆け落ちでもやると大変と教えることができるようなっていう、つまんない理由だが・・。

そういえば仲の良かった女友達の一人が卒業後に駆け落ちしたと聞いたことがある。確かに激しい気性の子だったが、予想はできなかった。結局連れ戻されて別な人物と結婚して、親と同居して子供もしっかり育てる結果になったが、そんな人生が嫌だったのか?

まさか駆け落ちの理由など聞くわけにもいかないし・・・聞いてみたいけど。

映画はアメリカ、イタリア資本だが、描き方は原作に忠実だったのか?大作と言えばディノ・デ・ラウレンティスという理由で、彼が絡んでいるらしい。確かに大作だ。フランス軍がやってくる場面は、本当の軍隊が来るみたいだ。河を渡る軍隊も凄い数だ。

私は、この大作が好きだ。バランス良くまとまっていて、製作者と役者達の意気込みを感じる。ソビエト製作版もあるが、あんまり見たいとは思わない。

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