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2009年5月10日

僕らのミライに逆回転(2008)

- 小品ながら佳作 -

ビデオ店を営むダニー・グローバーは、旅行でしばらく留守にする間、店員に店を任せることにした。ところが、店の近所のジャック・ブラック演じる男は、電磁波を体に浴びたまま店内をうろつき、おかげでビデオが全部パーになってしまった。

店員とブラックらは苦肉の策として、自作の映画をビデオで撮影してごまかすことにするが、当然ながらいいかげんな撮影で、普通なら客が怒ってしまうこと間違いない。ところが、これが評判を生んでしまい、彼らは次々と映画をリメイクすることになる。 著作権はどうなるの?と、普通なら気になるところだが・・・

・・・小品だが、よく出来た作品だった。昔のチャップリン映画のように、最初は激しいほどのギャグの連続、最後には心暖まるストーリーで、喜劇の王道を行く展開だった。

この作品は、冒頭部分の言葉遣いから考えると、子供には絶対に向かない映画かなと思っていたら、意外にも殺人や暴力のシーンはなくて、結局は家族で観てもほとんど問題ないような大人しい映画だった。セックスシーンすらない。今の普通の映画より、教育上好ましいという気すらする。

恋人と観ても、結構満足してくれそうな気がする。「レッドクリフ」なんか見せたら、人によっては振られても仕方ないが、これはオススメの映画だ。

ジャック・ブラックの個性が素晴らしい。この作品では頭がイカレタ主人公を魅力的に演じていた。最初は完全に考え方のおかしい、常識外れだけの男だったが、とことんワガママに演じていると、かえって親しみが感じられてくる。不思議なキャラクターだった。

この役を、彼以外の人物が演じることは想像できない。それは凄いことだ。

彼の場合は、やはり体型が良い方向に働いている。彼のようなコメディアンは、一瞬でも姿がカッコいいと感じられたら魅力が落ちる。見た目では、あくまで人を笑わせないといけない。ジム・キャリーのようなキャラクターならスマートであっても構わないが、ジャックは格好が大事だ。

かってのジョン・ベルーシに似ている。ベルーシの場合は本当にヤク中だった関係で短い人生で終わってしまったが、ブラックの場合は作品に恵まれているようで、今後もキャリアをつめそうだ。ただし、彼が「ホリデイ」などでラブストーリーを演じるのには無理があった。芸域は広くないと思う。

この作品は映画に対する愛情をひとつのテーマにしているが、「ニュー・シネマ・パラダイス」などとは語り口が異なる。もうひとつのテーマである、ジャズマンへの愛情、尊敬が全体のストーリーに関係しているからか?ジャズマンの話は登場人物には直接の関係はないんだが、町への愛情には関係している。郷愁ではない、アメリカ流の町への愛情なんだろうか。

日本で同じような作品を作ったら、きっと「ニュー・シネマ・パラダイス」のような郷愁を帯びた作品になる。物悲しさを自然に帯びてしまうのだ。何が違うのかよくは解らないが、歴史が関係した気風の違いであろうか?

ミア・ファローが出演していた。彼女は老婆役には最高の存在になっている。若い頃から老婆のような体つきだった。うつ病のような病気を抱えていることが、実に自然に表現できていた。彼女の出演作品では、懐かしい「華麗なるギャッツビー」を思い出す。女性独特の感性を、本当に自然に演じていた。

 

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