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2009年5月28日

いつか眠りにつく前に(2007)

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- 不完全ながら秀逸  -

ガン末期で死の床にある女性が、若い頃の出来事をうわごとのように話す。彼女は言う「・・・バディを殺したのよ。」 本当に誰かを殺してしまったのか?彼女の娘達は、どんな秘密が隠されているのかと気にする。その出来事は、彼女の親友の結婚の時の出来事だった・・・

・・・なかなか魅力的な映画だった。宣伝を見たときには、月並みの文芸調作品かな?と思っていたが、月並みではなかった。考えてみればアカデミー女優がそろって出演しているのだから、駄作であるはずはない。そこに気がつくべきだった。原作もベストセラーだったそうだ。

この作品は家族で見る類の映画ではない。できれば女性だけの友人、恋人、夫婦で見るべきだろう。あんまり楽しくはない。感動巨編でもない。心洗われる美しい物語と言うほどでもない。でも、美しく悲しい物語である。

出演者には実際の親子がいるそうだ。バネッサ・レッドグレープもメリル・ストリープも、それぞれの娘と共演している。

傑作とは言えないように思った。しかし、歌が非常に良かった。結婚式で歌う「タイム・アフター・タイム」は素晴らしい雰囲気だった。素晴らしすぎて、この映画から浮いてしまってもったいないくらいだった。多少は補正や吹き替えもあるかもしれないものの、主に主演のクレア・デインズが歌っている。

この作品を観て改めて感じたが、映画の中で音楽が占める意味は非常に大きい。美しい音楽は雰囲気を高める効果が抜群である。そのほかの部分が多少ケチがつく内容であっても、とりあえず雰囲気はよかったと感想を持つことができる。

登場人物の中でカギとなる友人の弟にして、かっての学友バディ君も良かった。「ルワンダの涙」にも出演していた彼だ。心の弱さ、もろさを上手く表現していた。だが、彼がホモセクシュアルであるのかどうか、それに意味があるのかどうかは私には分からなかった。酔っ払う演技は、ちょっとオーバーだった。本当の酔っ払いは、シャンとしようと努力するものだし、走り続けて車にはねられることはない。

主演のクレア・デインズは私には表情が分かりづらく、非常に魅力的とは感じられなかった。でも、後半に町で偶然恋人に会ったときに見せた表情は良かった。内面を表現していた。レッドグレープは本当に素晴らしかった。死にいく人のもうろうとした表情を上手く出していた。でも、本当の末期がん患者は、もうちょっと動きが弱く、ちょっとした動作でも体力を消耗して辛そうだ。人を抱きしめるのもきついはず。

女性にとって結婚式は、我々よりも大きな意味を持つようだ。マリッジブルーになるのも分かる気がする。特に本当に好きな人が目の前にいれば平静ではいられないだろう。そして、かって好きだった相手と再会したときには独特の感情が起こることも予想できる。その感情が、ある意味ではこの映画の主題とも言える。私も分かっているようで、完全に理解できているとは限らないが、女性なら判るのだろう。

いっぽうで目の前の子供には深い愛情も持つ。自分が考えていた人生とは違うという情けない気持ち。それを食事を作りながら子守に参ってしまう場面で上手く表現できていた。あのシーンの歌はクレア・デインズのアイディアだそうだが、非常に雰囲気が良かった。

「僕にはまだ僕達の星が見える。」というセリフはクサいが、あんなことを言われる女性は悲しくなるものの、幸せだろう。今度私が不倫するときに使わせてもらおうか・・・

子供を捨てて愛する男の元へ走りたいという衝動は、たぶん誰にでも多少はあるのではないか?悩み、愛を秤にかけるというと極端だが、ちょっとした空想、もしかして自分が愛人の元に走ったらという考えを全く浮べない人はいないだろう。たいていは、すぐに打ち消して子供の世話に没頭せざるをえないのだろうが。

誰への愛を重視するか、女性は常に迷い、悩んでいるのではないか?いや、女性に限らない。私も道行く女性のお尻を見ては目で姦淫している。特に女性は深く独特のものがあるというだけだ。

女性作家ならではのテーマだと思うが、愛に生きる女性への讃歌として、この作品は秀逸だった。私も心から女性達を応援したい。特にお尻が美しい方を。

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