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2009年4月10日

カクテル(1988)

- 野心の表現が上手い -

トム・クルーズ演じる若者は軍隊生活を終えて、都会でのし上がろうと野心満々。でも、就職できたのはバーテンダーの仕事のみ。ところが、先輩のバーテンダーは普通じゃない。野心と独特の哲学を持ち、あらよっと踊りながらのカクテル作りを披露する。

彼に習って修行したらノリノリの二人の店は大評判になり、いっきに金持ちか?と思いきや、女のことで仲違いして、あわれトム様はビーチで寂しくバーテン業を営むことに。そこで出会ったエリザベス・シュー嬢と恋に落ちるが、そこに例のバーテンダーが金持ちとなって現れる・・・

・・・「カクテル」は、トム・クルーズがスターダムにのし上がった頃の作品だった。「トップガン」と同じく、野心満々のキャラクターを演じていた。まだ若々しい彼が、のし上がろうとして挫折する姿には真の迫力みたいなものがあった。

野心が災いして、何かの失敗をする、敵を作ってしまう、挫折する、そんな展開は、作品の違いがあってもトムさまの一貫した流れであった。そんな役をやらせたら、トム・クルーズ以上に上手く演じる俳優はいなかった。華やかさからの転落、それに彼の自信過剰な表情が良くあっていた。

「ココモ」の曲も素晴らしかった。久しぶりのビーチボーイズのヒット作だったはずだ。南の島の楽園で、楽しい音楽を聞きながらのんびりしてみたい欲求は常にある。でも、実際には映画でしかそんな気分になれないんだなあ。

友人達と沖縄旅行をしたことがあったが、あれは私の人生のピークだった。あの時は酒を飲もうと思っても、そんなに飲めないと思った。暑いビーチでカクテルを飲むのは、私はあんまり好かない。酔っ払うと余計に暑くなって苦しくなるし、二日酔いになりやすく、せっかく海に来ているのにグッタリしてしまうのだ。

カクテルを少したしなんで、水着の美女を探すべきだったのだ。もったいないことをした。酒を中心にして、水着美女を肴にしようと考えたのが大きな間違いだった。今頃気がついた。

カクテルを作る際にビンを放り投げるのはなかなか上手かった。相当練習したんだろう。「コヨーテ・アグリー」でも同じようなパフォーマンスがあったが、あれのオリジナルはどこかの店なんだろう。見ていて楽しくなるが、実際に目の前でやられると怖いかも。

若い頃、ちょうどバブルの頃だが、ステーキ屋に行ったら胡椒などをポンポン放り投げるパフォーマンスをやっている店だったが、店員がまだ慣れていなかったので先輩のドクターにビンを投げつけてしまった。危ないところだった。

この映画のちょっと前か、カクテル作りにはまったことがある。家にいろんな酒のボトルを購入して、シェイカーまで用意して作ったが、書いてある通りにやっても吐き気がするような作品しかできなかったりして、結局は中途半端に止めてしまった。なかなか本だけでは上手くいかないもんだ。酒のブランドなども大事なのかも知れない。

で、映画のほうだが、この作品は踊りながらカクテルを作るシーンと、ビーチの美しい光景以外は、あんまりデキが良くなかった。トム様の野心は感じられたから、彼の演技は良かったと思うが、ストーリーに盛り上がりに欠ける感じを受けた。結局は、カクテル作りのシーンを撮るために無理に作ったからかも知れない。

今となっては、トム・クルーズの野心を記録した作品として、意味があるとも思える。彼は一時代を作った。

飲食業でのし上がろうとする人は多いが、なかなか競争が激しく難しいようだ。きれいな店を作れば数千万の借金を背負わなければならないが、一皿数百円の品々でそれを返済していくのは、気が遠くなりそうな作業だ。大評判になる→ チェーン店化する →多業種に挑戦するといった流れを全てクリアしていかなければならないが、挫折するほうが圧倒的に多いようだ。

病院もそうだ。20年位前までは、大きく借金してきれいな病院を建てれば、患者も集まってどんどん事業展開できた。老健施設を併設、関連病院を作るなど、成功した例はとても多かった。よほど無茶なことをしない限り、右肩上がりで成長できる神話があった。

でも、今は違う。基本的に市場を小さくしようというのが政府の方針なので、能力があっても銀行が融資してくれないし、長期間の事業の見通しが本人もできないようになっている。私としては、今までが良すぎただけのような気もするが。

私にも野心はあるが、大病院を建てて金持ちになる夢ではない。時代遅れのシステムを利用して社会資本の無駄使いをしていては、いかに大きな病院を建てても、いかに儲けてもむなしい。古き良き時代の夢物語の延長に過ぎないと思う。

野心の足りない負け犬の遠吠えにも聞こえるが・・・

 

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