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2009年4月 8日

トップガン(1986)

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- 自信過剰挫折キャラ  -

アメリカ海軍に所属するエリートパイロット養成機関、通称トップガンの中で繰り広げられるドラマ。配属されたトム・クルーズは優秀だが、独断的な行動が目につく。敵軍の戦闘機の写真を撮ったり、アクロバット飛行を楽しんだりして周囲のヒンシュクを買う。

ライバル争い、恋愛、破局、友情、事故などが散りばめられる中で、自信過剰気味の主人公も挫折を知る。しかし、そんな時に本当の任務が勃発し、彼らも出動となる・・・

・・・この作品の公開当時、私は研修医で、情けないほど時間のない生活をしていた。映画は、ほとんど見れなかった。学生時代に全く勉強していなかった引け目があったので、何とか人並みになろうとあがいていた。前宣伝を見た記憶はある。パイロットの物語なんぞ、青春物の感涙を狙って作られたワンパターン作品のひとつかな?くらいのイメージしか湧かなかったので、見ようとは思わなかった。

それまで飛行機乗りを描いた作品で面白いものなど、ひとつもなかったからだ。操縦士は当然ながら、コクピットに座ったままで深刻な表情を浮かべて演技しようとするだけで、明らかに演技だなあと解る程度のものしかやりようがなかったからだ。

この作品も、コクピットに座るシーンは同じだったが、戦闘の映像は美しかった。カメラワークや、戦闘機そのものの性能のアップ、カメラの性能などもあったのか、美しく晴れた砂漠の上空での訓練は、まず景色に見とれ、飛行機の軌跡にも見とれた。

研修2年目くらいに暇を見つけてレーザーディスクを買って観た。懐かしいレーザーディスク。今も段ボール箱に入っている。今は役に立たない、当時の新技術の産物。

この作品の第一印象では、そんなにヒットするほどデキがよいとは感じなかった。やはり青春物のひとつにすぎないし、ドラマが出来すぎて、テレビのレベルのような気がしたからだ。確かに戦闘機の迫力は素晴らしかった。空中戦の描き方が良かったので、それまでの空中戦のシーンとはレベルの違いを感じた。

軍が全面的に協力してくれたと書いてあるのを読んだことがある。ふんだんに撮影したからこそ、仕上げが良かったのかも。この作品で戦闘機のりに憧れる若者が多少増えたらしい。確かに、そんな魅力を表現できた作品である。

全体的に演技がクサイ。軍隊モノだから当然かも知れないが、兵隊以外の人達もオーバーすぎる感じがする。本当にテレビドラマみたいな感じだ。ヒロインが私にはピンと来なかった。主人公より大人に見えたし、10歳くらい年上と言われても納得できる印象で、無理はなかったか?メグ・ライアンも印象が深いわけではなかった。カワイコちゃんだなとは思ったが、比重が低かった。ERで有名になるグース役も、演技が臭すぎていただけないと思えた。

この時のトム・クルーズも、私にはあまり印象深くは感じられなかった。ちょっと若すぎてカッコづけしすぎた演技の仕方で、すぐ消えていく役者だろうと思えた。でも、女性ファンは結構できたらしく、この数年後には大スターになってしまった。意外だったが、売り込みの戦略が良かったのかも知れない。

今思えば、やはりトム・クルーズの強い個性が打ち立てられた作品だし、その後の路線を決めてしまうだけの効果があったと解る。

ほとんどの作品で彼は自信過剰気味に登場し、思わぬ不幸や失敗によって挫折するが、仲間の助けや本人の努力によって巻き返すドラマを展開する。そんなパターンで観客は感動するのだ。ヒーローは、出た作品によって作られるのだろう。「あの作品のイメージで、次の作品はこんなキャラを・・・」というふうに、映画人達もイメージができるから。

この作品は、こんな作り方がベストだったのかも知れない。悩める主人公の精神の表現を中心にすると、全然楽しくない映画になるし、戦いを中心にすれば内容のない作品になるし、難しい題材なのかも。その中で、この作品はよくまとまっているのかも知れない。考えてみれば、この作品は家族や恋人といっしょに観れるように作られている。割と健康な精神に則って作られているのだ。軍人を目差す青年が見れるように。その意味でも、よくできているのかも知れない。

更に、今になって思えば、この作品は軍隊ご用達の作り方だから、いたって健康的な作品になっている。したがって、子供が観ても悪いとは言えない。軍事オタクになるかもしれないが、なよなよした人間を勧めるような軟派な性格が全くない点は認めないといけない。恋人に見せても、笑うかも知れないけど、ひどく退屈はしないはず。

つまり、良く出来ているってことだ。

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