映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« パコと魔法の絵本(2008) | トップページ | ディスタービア(2007) »

2009年3月28日

ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史(2009)

- 今後の方針が気になる  -

のび太君とドラえもんの部屋の畳の下と、遠い宇宙船の倉庫が異次元空間でつながってしまった。宇宙船に乗り込んだ二人は、宇宙開拓団の少年と知り合い、友人になる。

この開拓団が住む星には地下資源がある。それを狙った企業が開拓団を追い出そうと画策する。これに対して、のび太とドラえもんらは協力して対抗しようとするが、ワナが待っていた・・・

・・・今回のドラえもんは、1981年の作品のリメイクであった。なぜリメイクしたのかは知らない。過去のヒット作なら確実なヒットを狙えると考えたのか?何か権利上の問題のために、新しい物語を作ることができなかったのか?

過去の作品と比べて映像の技術は格段に上がっているようで、特に宇宙船が飛行する動きの表現、大きさの表現、細かい部分に関しては、最近のデジタル処理の良さがあった。その反面、どの映画も処理する業者が同じなので、同じ映画を観てるような気がしてくることも否めない。

飛行船がリアルな迫力を出すより、ひょうきんでマンガチックな動きをしたほうが面白いと思うのだが・・・

スタッフの中には、かなり韓国のプロダクションが入っている。これも前作と同様。おそらく費用的な理由によるのではないか?微妙にセンスが違うような気がしてならないのだが、子供達は気がついたのか?

声優たちの中には棒読みの者もいた。カワイコちゃんのアヤカ・ウイルソンなどらしいが、声の場合はプロにさせたほうが絶対にいいと思う。かわいさは関係ないと割り切るべきである。

のび太と友人の別れは、それほど湿っぽくなかった。ドラえもんらの活躍によって友情の盛り上がり、信頼関係の深まりはあったし、全く無感情というわけではもちろんなかったが、メソメソすることはなかった。これも前回と似ている。

昔のドラえもんシリーズは大人も泣けるような熱い友情の物語、パッションとでも言うべき何か感情に訴えてくるものがあり、メロドラマなみの臭いシーンがあった。幼稚な出会い、単純な感情ではあったが、とにかく熱かった。この作品は、もっとスマートな感じになっている。

ドラえもんの今後の方向として、このままで行くつもりなのか?湿っぽいままでいいような気がするのだが・・・ 中心テーマをどこに置くべきか、訴えるものは何かというコンセプトは、いったいどのようになっているのか?「過去の路線ではダメだ」と考えているように思えるが、私は今の路線のほうが魅力に欠けると思う。

のび太とドラえもんの友情に重点を置くべきか?または、映画の度に新しい友人が現れるので、それとの友情に比重を置くべきか?ペットのようなキャラクターとのび太の関係を中心にすべきか?出会いと別れのドラマに徹するか?自然破壊や開発の害への警鐘をテーマにするか?中心のテーマにブレを感じる。

ドラえもんシリーズは、アニメには似つかわしくないほどの感動を狙って欲しいと思う。「こんなの子供映画には無理じゃないの?」という声が多数をしめるくらいの極めて真面目なテーマを、多少のギャグを織り交ぜながらやって欲しい。

奇抜な道具を、映画用に出して欲しい。何か権利の問題があってできないのか?映画専用の道具があれば、きっと魅力になると思う。

子供達がギャハギャハ笑うギャグの後に、これはひどいよなあと誰でも思えるような汚い手段を用いる敵が登場し、全然笑えない部分があったほうが良い。できればイジメなどの実社会の問題を連想させるようならもっといい。理不尽さに怒りを覚えるシーンの後に、勇気や友情に裏づけられた奇跡的な勝利があれば、子供達を元気づけることができる。

さらに、過去には健康的なストーリーとして、ジャイアンやスネ夫らとの誤解や怒りがラストで解消するパターンもあったが、やはり子供達の物語には、そんな展開も望ましい。

日常でも経験するような仲違い、偏見、無理解、強情などを画面で再現し、それらの克服の仕方を、ドラえもん達を例にとりながら示してあげるべきである。それらを、ギャグや新しい道具で彩る。それが昔のドラえもんだった。旧来の方針でいいと私は思う。

普遍的なテーマがあり、新しい道具と夢のある冒険、そんな構成を貫かないと、尻つぼみになるだろう。

 

« パコと魔法の絵本(2008) | トップページ | ディスタービア(2007) »