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2009年3月14日

インクレディブル・ハルク(2008)

-視点の変更らしい-

超人ハルクが、彼を材料に武器を作ろうとする将軍らと戦いながら、自分の治療法を探す。味方は、恋人エリザベス博士と、もう一人の科学者。将軍が呼んだ兵士の一人には、ロシア出身の凄腕がいる。彼は自分から望んで、自分にハルクの血清を注射する・・・

・・・エドワード・ノートンは昔日本にもしばらく住んでいたことがあるそうな。結構いろんな経験を経て役者になったらしいが、演技力は大したもんだと思う。この映画でも要求されている以上の迫真の表現をしていたと思う。

ビッグスターにはなれないかもしれないが、彼は犯罪者か殺し屋に狙われる男などを演じると非常に上手い個性の持ち主のようだ。体が痩せていることや、顔立ちが端整で、弱々しげな感じがする。その反面の狂気めいた怒りの感情を表現するのが上手いんだろう。

もしかすると、この種の映画ではオーバーな表現をしたほうが実は役柄に合うのかも知れない。つまり、あんまり演技力のない役者を選んで、くさい芝居をやってもらったほうが、観客は安心して見れるのかも。ノートンの場合は、どちらかというと繊細な表現が特異なほうだから、本来ならミスキャストなのかもしれない。

彼が選ばれたのは、バットマンが視点を変えたしリーズで成功を収めた関係で、ただの怪物映画ではなく、むしろ心理劇を中心とした笑えない作品を目差そうと言う意志が働いたのかも知れない。超人ハルクは、つい最近も何本か作品があったくらいだから、何か新しい視点、新しい役者が欲しかったのかも。

マンガだけを考えてみても、変に笑いをとらないでシリアスに徹すると、時には非常に魅力的に写ることがある。お子様マンガの中に、クールで非情な大人の作品が混ざると、他のマンガが急にくだらなく思えてくる。あんな効果が期待できる。「ダークナイト」は、それで成功している面がある。

今回の映画での配役のミスと思うのは、ロシア出身の敵役の兵士である。せっかくだから、筋肉の塊のような男を選んで欲しかった。主演のノートンとは対極の個性、いかにもタフで冷酷、殺し屋になるために生まれてきたような男を選んで欲しかった。

ヒロインのリブ・タイラーにも疑問を持った。この役のキャラクターを考えると、アップで主人公と向き合って、「アルマゲドン」での恋人に抱きつく演技を期待したいような誘惑にも駆られるが、彼女も既に31才?であり、同じような役柄は、もう後進に譲るべきだったのではないか?演技などできない、ただ泣くだけの超美人でも良かったのでは?

昔のゲテモノ、バケモノ映画のヒロインに対する私の偏見が入っているからかも知れない。化け物の相手をするのは、水着に似たトラの皮みたいな最小限の衣類を着た肉体派美人と決まっていると思っている。これは私の勘違いだろうか?

でも、「なぜ怪物につかまれて衣服が脱げないんだ?」などと疑問に思って、肝心の映画の筋を忘れてしまう男は、他にもいたかも知れない。

この作品の売りであるCGは素晴らしかった。ハルクが変身するシーン、特に最初に暗闇の工場内での変身は迫力満点だった。あっさりと全身を見せてはいけない。ちゃんと、そのへんの加減が解っていたようだ。

乱闘シーンも実写と区別がつかないくらいの美しさだった。飛び上がった時の重量感の表現に、もう少し改善の余地があったかも知れないが、とにかく美しい映像だった。強い主人公が苦悩を抱えて悲しそうな表情をすると魅力的だ。ハルクが怒りを込める表情にも、何か感情移入しやすい。これはストーリーによる効果もあったんだろう。

でも、正直言って、私はそろそろ実写だけのラブストーリーを観たくなって来た。CGがどんなに美しく、写実的になったとしても、過剰に早い迫力満点の格闘シーンばっかり観ていると、何か心温まる映画をみたくなるもんだ。

この作品の主人公とヒロインの恋物語は盛り上がったのだろうか?私としては、わずかながら不完全燃焼だったような気がする。ヒロインの絶対絶命の危機を、身を犠牲にしてハルクが救うシーンが必須だったはず。大きな傷を負わないと、いまひとつ危機感が盛り上がらない。チェーンで敵を倒すなんて・・・

そんな関係で、この作品は恋人といっしょに観ても、深く感動、満足するという映画ではないような気がする。もちろん駄作ではなく、丁寧に作られたなかなかのデキの作品なんだが、一級品とは言えない。家族で暇つぶしに観るのはいいかも。

 

 

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