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2009年3月12日

シリアナ(2005)

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- 作品が目差したものは? -

あらすじは省略。と言うより、複雑で、まとめきれない。

シリアナというタイトルの意味も解らないが、テーマとしては中東をめぐるアメリカ企業、政府機関の思惑と、影響される王族、労働者達、経営コンサルタント、CIAのエージェントらの絡みを描いた作品。複雑に絡み合った利害関係がよく解り、いかにもありえるような現実的問題を浮き彫りにしたと思う。

よくできた話だった。脚本は、なんと実際のCIA要員だった人物らしいが、それもあって本当にリアルである。

ただし、空軍の兵器を使って攻撃すれば、さすがにアメリカ政府が犯人だと解ってしまうので、直ちに国際問題に発展する。それはさすがに反発を喰らうので得策ではない。暗殺をするのは、常に末端の要員の依頼による現地の人物だと思う。空爆で暗殺するなんてのは映画用の設定に過ぎない。

この作品の構成には疑問を持った。奇抜さを狙ったのかも知れないが、グランドホテル形式なのに、お互いのシーンの連絡がないので、本当にバラバラのままで話が展開するのである。普通は、一人の人物が画面を横断するかのように交錯して、何かの関連性を保とうとするのに、この作品は旧来の約束事を無視している。実験的、意欲的と言えば言えなくもないが、効果的な方法とは必ずしも思えなかった。作品が目差したものが解らない。多くの人に意図を解ってもらえない映画は、きっと失敗である。

ジョージ・クルーニーは抑制の効いた演技で賞をもらったらしいが、私は彼に同情したり共感したりはできなかった。むしろマット・デイモンのほうを気の毒に思った。いつも思うのだが、ヒーローはひとり、もしくはひとつのペアに限定し、共感を集中させたほうが観客は喜ぶ。作品もヒットしやすい。この作品の構成では、ヒットは望みにくいと思う。

同じテーマ、同じストーリーであったとしても、マット・デイモンを中心に描くならば、きっと大悲劇の作品に仕上げることができたと私は確信する。デイモンが出演するテレビの解説シーンをキーにして、彼が感じることを解説シーンの彼の表情の変化で示すことができたら観客は感心するだろう。

例えばラストシーンは、負傷して手か足を失ったデイモンが家族と再会して涙を流すシーンが望ましかったと思う。

ジョージ・クルーニーが中心のままででも、悲劇の訴え方を変えれば同情を引くことは可能だったと思う。もっとメロドラマに近づけたほうが、作品の質はともかくとして解りやすくはなったはずである。名作になるためには、大悲劇を目差すしかないと私は思う。

悪役のプラマーは何歳なんだろうか?2枚目だった「サウンド・オブ・ミュージック」から後は悪役が多い。いつかはサンタクロースの格好をした犯罪者を演じていたが、顔がほとんど見えない役だった・・・。

さて、この映画を家族に見せたものか?絶対に止めたほうがいいと、私は思う。残虐なリンチシーンもあるし、話が暗いし、展開がコマ切れだし、子供が理解できるようには思えないからだ。恋人といっしょに観るのも、はたしてどんな印象を持たれるか怖い感じがする。そんな作品をなんで作ったのか?

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