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2009年2月10日

ダークナイト(2008)

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- ヒース亡き後は?  - 

ゴッサムシティにはたくさんのギャング団がある。彼らが恐れるのはバットマンだが、市民が彼に寄せる感情は複雑だ。憎む人もいる。バットマンは隠れるかのように悪人を退治していた。仲間は恋人と執事のマイケル・ケインと、警察のゲイリー・オールドマンのみ。

新任の検事が登場する。彼(アーロン・エッカート)は、強引な手段で悪人を一掃すべく、表から活動する。バットマンは彼を裏からサポートする。しかし、悪人どもはジョーカーなる奇妙な怪人を雇って、ますます激しい犯罪を起こす。ゲイリー刑事は銃撃されてしまう。

バットマンの恋人は検事との間で三角関係になってしまう。彼女は人質になって、検事か彼女のいずれかを救わざるを得ないという、究極の選択が演出される。そして激しい爆発。検事は大怪我をして、心にも傷を負う。バットマンはジョーカーと元検事の二人の敵と対峙することになる・・・

・・・この作品は大ヒットした。助演のヒース・レジャーにはゴールデン・グローブを始めとして様々な賞が送られたらしい。彼は変な役を好んでやる、役者らしい役者だった。2008年一月に急死したが、死因は薬物乱用と発表された・・・

「ブロークバック・マウンテン」は高い評価を受けたが、私には正直言って彼の役の感情が解らなかった。「チョコレート」でも精神がおかしくなった青年を演じていたが、こちらも心にしみるほど同情したかと言えばそうでもない。でも両作品とも非常に上手かった。

今回のジョーカー役は、以前のジャック・ニコルソンが演じた個性とは随分と違っていた。全くユーモア精神などなさそうな怖ろしい人物で、完全にイカレタ役。でも話す内容には妙に説得力があって、バットマンと論戦で勝ってしまいそう。そんな個性が、このようなヒーロー物ではいかに有効かを証明したと思う。

例えば以前「バイオハザードⅢ」の時にも述べたが、せっかく出てきた悪役の科学者が、あっさりやられてしまっていたのがもったいなかった。やられてもしぶとく生き残り、姑息な手段で反撃し、主人公を苦しめるほうが絶対に盛り上がる。勝っても勝っても、もうちょっとで取り逃がし、またとんでもない仕掛けをこしらえる敵役は面白い。

観客も納得できるような屁理屈を上手くセリフに盛り込まないと、今回の悪役は成立しなかった。存在感を示せないと盛り上がらないのだ。結局は役者の演技力もさることながら、セリフが素晴らしかったのだ。よく考えてあった。

「第三の男」が名作たりえた理由のひとつは、オーソン・ウェルズが言うセリフにあったと思う。例の「スイスは~年の平和でハト時計を産んだだけだ・・・」である。大勢の人を殺した悪役なんだが、論理的になるほどと思わせることで存在感があった。強力な悪役は映画を魅力的にする。一歩間違えれば、悪人礼賛になりそうだが・・

映像も素晴らしかった。爆発シーンにも工夫がしてあって、ジョーカーが「あれ?爆発しないぞ?」と思ってスイッチを入れなおすなど、実に手が込んでいた。バトッマンが彼のバイクで疾走するシーンも実にカッコいい。これだけそろっていれば、ヒットするはずである。

本来は主役のクリスチャン・ベールは、今回は脇役だった。ベールの良さが、私にはさっぱり解らない。「プレステージ」で初めて彼を見たのだが、なんで主演をしているのか解らない。私の感覚では、スターには強烈な魅力を感じることが多いものだが、彼にはさっぱりそんなオーラがない。私だけかも知れないが・・

バットマン映画なんか馬鹿にして観るつもりもなかったが、ヒットしたことで興味を持つに至った。この調子だと、次回作も素晴らしいレベルになるだろうが、肝心のヒースがいないとなると、いったいどうするんだ?

この作品は、子供には向かないと思う。異常者が主役を完全に喰ってしまっている。アンチヒーローならまだしも、完全な異常者が主役に成り代わる作品なんか、絶対に子供には見せたくない。でも、恋人といっしょに観るなら、この作品は一級品、間違いなく傑作なので、オススメだ。

なんでこの作品がキネマ旬報では3位だったのか?この年のナンバーワンだと思うんだが。

 

 

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